⑮サクの旅立ちの日の奇跡～その後（完）

2016年8月23日(火) 2016-08-23T21:35:43+09:00 569 / 10

サクが動かなくなって、
とうとうこの時が来てしまった･･･と、
覚悟はしていたけど、
さぁ、どうしよう･･･。
どうしてあげたらいいんだろう･･･。

とりあえず、安置というものをしなければ。

サクの体に合う大きさの段ボールを用意し、
いつもその上でくつろいでいたひざ掛けを敷き、
サクを寝かせました。
体の側面はどちらも、例の水を抜いたときの剃り跡が痛々しかったけど
どちらかというと左側のほうが目立たなかったし、
私の大好きなサクの腕と脚の白ラインが入っている方も
左側だったのでそちらを上にしました。

いつもは使っていない部屋の冷房を少し強めにかけ、
サクを安置しました。
「そうだ、お花を買ってこなきゃ」と
近くのホームセンターへ。

なぜか私の頭は「とと姉ちゃん」の主題歌、
宇多田ヒカルの歌がリフレインのように鳴ってました。
あれって、亡くなった人を送る歌だよね?!
宇多田がお母さんの藤圭子さんが亡くなった時に
作った歌なのかな、と思ってた。

〝始まりと終わりのはざまで忘れぬ約束した〟
〝どんな言葉並べても真実にはならないから〟
〝どんな言葉並べても君を讃えるには足りないから〟
〝今日は送ろう　涙色の花束を君に〟

ろうそくの代わりにアロマキャンドルを焚き、
父の遺影に上げていたお線香をサクにも上げました。

そうして、サクとのお別れの儀式を頼まなきゃ、と、
ペットの葬祭センターへ連絡しました。

娘も一緒に送りたい、でも明日は用事があるというので
今日の夜遅くになりますがお願いをしました。

サクはだんだん冷たく固くなっていきましたが、
かわいいピンクの肉球は時間がたっても
ぷにぷにと柔らかく、そこだけは、まるで生きているみたいでした。




そうして、サクの保護主さんたちに
報告のメールを入れました。

と、そのとき、
保護主さんのひとり、女性の方のほうが
「今、すぐ近くにいるんだけど･･･」と電話。
「えぇっ!?そうなんですか???」
同じ都内とはいえ、山手線の東側と西側、
ウチは「おしゃれタウン」でも大きな商業施設があるうわけでもなく、
何かで有名な場所でもなく、
用事がなければ来ないところ。
でも、ある専門のお買いものをするところがあるらしく、
そこに来ていたそうです。

あさってだったらお嬢さんが行くと言ってくれたものの、
その方は「なんだか今日、自分で行かなければいけない気がした」
とのことで、着いたらサクの様子を聞きにメールでもしてみようと
思っていたということでした。
何という奇跡、偶然でしょうか！
そこへ届いたのがサクの旅立ちの報告･･･｡

ここ数日は掃除どころでもなく散らかっていたけど、
そこは迷わず家に上がっていただき、
お線香をあげてもらいました。

サクが小さい赤ちゃん猫だったころ、
出産後のお母さんや兄弟とともに、その方に可愛がられていました。
「きっと、〝ボク頑張ったよ。最後に会いに来て〟って
言ってくれたのかもしれない」と、二人で話していました。
ふたりのお母さんに見送られたかったんだね、サク。
人間の4倍から5倍の速さで時が過ぎる猫。
サクの闘病3か月は、人間でいったら1年以上ですもんね。
頑張りました･･･｡

実は、サクの最期の様子をお話ししたのは
後にも先にもその時のその方のみ。
それと、ココの日記に書いただけです。
娘や母にも詳細は話していません。
まぁ、いつも話し出すと私が泣いてしまうので、
みんなそこまで聞けなかったのかもしれません。

でも、サクのことに関しては、
本当におふたりの保護主さんにお世話になりました。
「ウチのサクは可愛い可愛い」「イケメンだ」と躊躇なくノロケられたし、
病気が発覚してからも私の心の支えになっていただいていました。
本当に感謝しています。


その後、きれいなお花が付いた写真立てを連名で送ってくださいました。


その日、夜になり、焼却炉のついた車で葬儀の方が来てくれました。
火葬の料金は体重で変わるので、
「何キロですか？」ときかれ、
「2キロ･･･あるかないかだと思います･･･だいぶ痩せたので･･･」
計ってもらったら、1.5キロになってました･･･。
がんばったね、サク。

箱もひざかけも首輪も一緒には燃やせないそうです。
ゴハンもおやつもパウチから出して口の近くに置きました。

サクにいっぱいの「ありがとう」と
「がんばってえらかったね」
「またすぐに戻ってきてね」
「大好きだよ」と伝え、
最後に、私の大好きな、
サクのかわいいピンクのお鼻に鼻チューをして
お別れしました。



サクを見送り、
車はまた骨になったサクを連れてきてくれ、
骨壺に収めました。

骨壺とは別に、ペンダントに分骨もしていただき、
49日まではずっと一緒にいよう、と身に着けていました。



猫は犬と違ってどこへでも一緒にお出かけ、というわけにはいきませんが、
この時期、サクとずっと一緒にいることができました。
「身に着けている」というと、
あからさまに気味悪そうな顔をされることもありましたが、
まあそういう人はそういう人ですからね。

でもサクの存在がなくなって、
どれだけサクを心の拠り所にしていたか･･･。

家に帰っても迎えに出てこない、
「ただいまー」と言っても「ニャー」と返ってこない。
私が冷蔵庫をあけても、戸棚をあけても、
おやつがもらえるかと、いそいそと見に来ない。
お風呂を入れてもお湯を飲みに来ない、
ビニールを置いておいてもカミカミしに来ない、
どこを探してもどこにも隠れてない･･･。

存在がないということがこんなに寂しいとは、
想像以上でした。
外から家に帰って一人になると、
泣いてばかりいました。
あまりにも泣いてしまうので、
仕事が始まってからは、
写真と動画を見るのは休みの前日のみ、と
自分で決めました。顔が腫れてしまうので。

それにしても旅立った日が22日、
私の休業を約1週間残しての旅立ちでした。
人間でも親族の忌中で特別休暇は1週間、
それを計算してくれたのか･･･｡

これがもし7月に入り、具合の悪いサクを残して
仕事に行かなければならないとしたら、
どれだけつらかっただろう。
そしてその旅立ちの瞬間に一緒にいてあげられなかったら、
そのことでずっと自分を責め、
私はもっともっと立ち直れなかったと思う。

本当に親孝行なサクでした。

やっぱりサクに会いたい。
サクをなでてあげたい。
サクの好きなゴハンを用意して
サクのトイレの始末をして、
サクの声を聞きたい･･･。




でも、ココのネコジルシのサイトを見るようになって、
同じような人たちがいっぱいいる。
みんなそれぞれに悲しんで、苦しんで、
そしてその悲しみを、苦しみを乗り越えてる。
そう思うと少しずつ元気になれました。

そしてサクとの思い出を
時系列でここの日記に書かせていただくことで、
本当に泣きながら、ココに書いていくことで、
きちんと自分の気持ちと向き合い、発信することで
少しずつ気持ちを整理して毎日を過ごせるようになった。

そしてたくさんの優しい方々が
メッセージやコメントで励ましてくれる、
ぺったんしてくれる、
そんな色々なことで少しずつ前を見ていけるようになれた･･･。

読んでくださったみなさま、
本当にありがとうございました。


サクの生きているときには間に合わなかったけど、
キャットケアスペシャリストになりました。


サクの病気がわかってから、いてもたってもいられず、
何かできることを、と思って始め、
まあどれだけ身についてるかどうかはわからないけど～苦笑

いつか何かに役に立つかな～？

また、可愛いニャンコと出会えたら、
今度は幸せな日記をココに書こうと思います。

次のニャンコは、サクが巡り会わせてくれると思っています。
巡り会えない間は、
サクが「まだだよ～」って言っているのかな、と。

いつかまた可愛いニャンコに出会って、
小さな命を救って育むことができたら、と願っています｡


サクとの思い出の日記はここで終わります。
読んでいただいたみなさま、ありがとうございました！