(・θ・)猫ではなく、すずめの話です
最近、陽が昇るのが早くなり、まだ目が覚めないうちに外の野鳥の声を聞きます。
寝起きが悪く、ぼんやりしながら、鳥の声を聞くとヂュッピーがまだいるような感覚になります。
3ヶ月前に急に亡くなってしまった、すずめ、ヂュッピーロスから立ち直れません。
去年の六月、雨が降り肌寒い朝、以前働いていた会社の工場長がまだ羽のない、足ばかり大きなすずめの雛を事務所に持ってきました。
1,2時間で死んでしまうような雛だから、せめて最期はあたたかいところに置いてほしいとのことでした。
小鳥の雛を触るもの、じっくり見たこともない私は目が出て、喉が透き通った筋のみで、今から羽になるツンツンとしたトゲだらけでほんのりと温かいものを手にして、どうしたらいいのかわからず、とりあえずコピー用紙の箱にタオルを敷き、雛を置き、周りをタオルで囲み、使っていたひざ掛けを箱の上に被せました。
約束の1,2時間が過ぎたころ雛はフラフラと首をもたげ、力のない声でヒヨヒヨと鳴きはじめました。
何か食べさせなければと、お昼のお弁当のご飯を潰して何度も口元に近づけましたが嘴をかたく閉じて受け付けませんでした。
家でインコを飼っている社長が嘴を開かせストローを突っ込み水を飲ませてみました。
これは見事に成功しました。
仕事が終わると家に連れ帰り、何か栄養のあるものを考えました。
やっと食べてくれたのが猫用のちゅ~る、ささみ味、ヅラポンがケガをしたときに一番喜んで食べていたものです。
ヅラポンが使っていた注射器で食べさせました。
食べたちゅ~るが喉の管越しに見えて、今にも飛び出てくるようで気持ちの良いものではありませんでしたが、食べてくれたたけでも嬉しかったです。
生きてくれるかもしれない。
私は親鳥になったようで、キモイハゲハゲ雛もかわいいわが子のような気がしてきました。
それから10日間ほど、子連れで出勤しました。
工場長も何度も雛の様子を見に来てくれました。
ヒヨヒヨと鳴いていた子が大きな声でちゅ~るをねだるようになりました。
ここの会社は市内でも郊外にあり、いろんな鳥の姿が見れます。
鳥の姿を見て季節を感じることができます。
冬は落穂ひろいをする白鳥、Vの字になって北へ帰る姿は感動ものです。
春は巣づくりをするすずめやセキレイ。
ケンケンと鳴きながら駐車場をつっ走る雉。
夏は子育てをするツバメ、雛を連れて田んぼをおよぐカルガモ。
道路が混んでいるなと思うとカルガモの親子が横断していたりします。
突然鳴き出すカッコウ、カッコウに巣を取られるヨシキリ。
田んぼのおたまじゃくしを狙う、ダイザキ、猫のような声を出して飛ぶ青鷺。
秋は稲穂を食べるすずめやカラス、固まって飛んでいる名前も知らない渡り鳥。
夕方になると電線に同じ方向を向いて止まるうるさい鳥。
それを狙う猛禽類。
会社の玄関先に毎年、セキレイが巣を作ります。
長い尻尾をフリフリ、チョコチョコすばやく歩く白と黒のかわいい鳥です。
いつもツガイでいます。
玄関先の巣の下のコンクリートがフンで汚れるのを嫌って社長が巣を取り除きます。
それでも何度も何度も作りなおします。
脚立に上がり鳥の巣を取り除いて「ヒナがいた」と隣の田んぼに巣を捨てる社長。
目ざとく巣の中のヒナを咥えて飛び去るカラス。
空になった巣を見上げながら、ウロウロする親鳥。
「この会社、もう辞めよう」
「立つ鳥跡を濁さず」13年間仕事の手順や注意することを書き記した大切な備忘録、その日に捨てました。
私が俄かすずめの親鳥になったから気づいたことです。
まもなく退職しました。
キモイハゲハゲは順調に成長し、注射器のちゅ~るから鶏ササミの茹でたものや果物も手から食べれるようになりました。
黄色い嘴を大きく開けて、一口食べる度に喜んで手をパタパタ。
名前はヂュッピーになりました。
遊んで眠くなると夫の腹の段々に潜り込みます。
子育てしたことがない私達は過度な愛情を注ぎました。
なんでもヂュッピー中心の生活。
ある日、「ヒ~」と息を吸ったような声を出し、その後に小さな声でボソボソと言い始めました。
「ヂュッピ~、ちゃん、ヂュッピ~、かわいい、ダメー」言葉を覚えてくれたようです。
特にテレビで賑やかな歌が流れているときはいつもボソボソしゃべっていました。
仕事を辞め、新しい職に就くまでの不安な日々。
新しい仕事を始め、やっていけるかどうか気力体力ヘロヘロの日々。
介護の学校へ行き、頭もクタクタの日々。
癒して気分転換できたのは猫とヂュッピーとおニャン形。
このころ、ゆーちゃそさんのイタズラトリオを作ってしました。
ニードルで羊毛を刺していると、早速やってくるヂュッピー。
目玉はもって飛んでいくし、針のギザギザのところ咥えるし、足に羊毛絡ませるし。
いつもいつも「ヂュッピ~、ダメ~」
これじゃ、鳥でも言葉おぼえるわ。
それでも夫の帰宅する車の音が聞こえると、イタズラをやめて、ピピッと鳴いて窓のそばへ。
マフラーの音が高い夫の車は私よりもヂュッピ~の方がよくわかります。
夫が毎日買ってくるおみやげが大好きなのです。
帰宅した夫の肩に止まり、大好きなせんべいをもらいます。
袋を開けてすぐもらうのが好きみたいで、家は袋の開いたせんべいだらけ
なりました。
新しい職場にもどうにか慣れ、学校も終わり、雪が降るころ、あのキモイハゲハゲだったヂュッピーはふわふわのふっくら冬毛になりました。
晴れ着の髪型、帯結び。
福良雀とはこのことをいうそうです。
しあわせになれるすずめ。
ヂュッピーはほんとにそんな子でした。
2月12日、突然逝ってしまいました。
止まり木から落ちて、私の拾い方が悪かったのか。対処が悪かったのか。
手の中でヒナの時と同じくヒヨヒヨと泣きながら天に帰りました。
ヂュッピーが食べていた文鳥用のフード、手つかずのがあって、少しずつフラワーボックスに置いています。
最近、二匹のすずめが食べに来ます。
すずめは見た目も、声も同じに見えます。
食事中のすずめを見ていると全部ヂュッピーに見えます。
もう一度、肩にのせて頬ずりしたい。
手に乗せて、ふわふわの温かさを感じたい。
近づくとすぐに逃げて行ってしまいます。
ヂュッピーは私が産むしかないな・・・
羊毛フェルトで作ってみることにしました。
次回へ続きます →
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