衰弱した乳飲み子だった。
一緒に保護した弟は、ほどなく逝去し、
その生命を託されたかのように、すくすく成長した。

子猫にありがちな傍若無人さで、
レプン姐さんの安眠を妨害していた彼女。
起きてるときはずっと姐さんとケンカ。
眠ると、天使度満点。
姐さん派の私でも、思わず微笑んでしまう。
そんなノンノも大きく成長した。
とは言え、我が家の猫族の中では一番ミニマムだけど。

私たちと姐さん。
それが彼女の理想の生活なんだろう。
そこにマルリやナミが「闖入した」と、思ってる。
だから彼女はピリピリしている。
時に彼らを受け入れるときもあるけど、
たいていは威嚇して、殴って、追い払う。
「ノンノ!」と呼ぶと振り向いて、
足元に寄ってくる。
そんなノンノも、
ストーキングしてくるナミに辟易して、
プリプリ怒るノンノも、どちらも可愛い。
私たちに触れられることが好きなノンノだから、
一日のうちで、私が一番触れている子にもなる。
安心してゴロゴロして、急にかみついてキックする。
だっこすると、私が不安になるほど脱力する。
こんなに無条件で信頼してくれるので、
人間界のもろもろで適度に警戒心をもつようになった私は、
いつも戸惑う。
「愛」とは相手を「許す」ことらしい。
その「許す」は「受け入れる」という意味に近い。
ノンノは私を許してくれる。
そんなにたいしたことしてるつもりもないんだけれど…
それが私の戸惑いの理由だ。
人は許すとき、たいてい理由を持つ。
猫族には、たぶん何もない。
その何もなさが、私にはまぶしいのだろう。
この世界に「天使」的な存在があるとして、
それはこの、ちいさな身体のことかもしれない。
そんな風に想像して、つい笑ってしまった。
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