いつも通る坂道

2017年8月22日(火) 320 / 6

私は、車の運転ができない。
普段、1人で出歩くときは、自転車です。

家の辺りは、坂道が多い地域で、我が家も坂の上にある。
いつもお世話になっている動物病院は、坂の下にある。

この地域に住むようになり、もう20年ぐらいになるだろうか。
私は、猫のクーちゃんと出会い、自分の自転車でも行けることもあり、病院を今の所に決めた。

1番坂をずっと上らなくてもすむ病院からの急な坂道を選んで通る。自転車を押しながら10分弱歩く。

いままで、たくさんの猫と通ってきた。今も数匹の通院で通るのだが、唯一多頭飼いの我が家では、1人と1匹での時間。

坂道の間には、お稲荷さんがあり、季節ごとに、桜や新緑、紅葉など景色が変わる。
いつも通りながら、猫に話しかける。
「よくがんばったねー。」

「体が楽になるからね。」など、色々話しかけるけど、頭の中では色々思う。

いろんな病気で、猫たちを送ってきた。
腎臓病、肝臓の病気、癌、FIP・・・どれもが、お別れが近い病気だ。

坂道を歩きながら、今年の桜で見納めなんだなーとか、紅葉見れるかな？とか頭の中で考えている。

そして、あと何回この坂道を1人と1匹で歩けるのだろうと、胸が痛くなる時もある。
この道を歩くとき、これは私と猫の思い出の時間で、大切な時間。
なぜだか、いつも猫にすまないと思う。

自己満足かも知れないが、できるだけの治療はするし、進行を止められなくても、本人が楽になるだけでも通院する。
少しでも穏やかな時間を作ってあげたいから。

でも、治してあげられない事実があって、歩きながらそれを実感するときもあり、ごめんねと思う。

昨日も、1匹の猫と坂道を歩いた。
数ヶ月前に来た新入りだ。来た時から顔にケガをしていた。
昨日は、顔の3回目の縫合だった。少しづつの前進なので、何度も縫合しなくてはならない。

これからも色んな子とこの坂道を通ると思うけど、この子とのように、明るい気持ちで歩けたら幸せだなと思う。

29 ぺったん