
嫁が「猫が飼いたい」とのたまったとき、
私は何をやぶから棒にと思った。
今まで、わたしたちふたりの生活に「猫」はおろか「犬」だって
動物フラグは一切立っていなかったからだ。
最近はインターネットで里親募集しているらしい。
そんなことから、いくつかのサイトで検索。
その中に、彼がいた。
それから7年ほど経って、
色んな猫と出会ったが、彼ほど暴れん坊の子はいない。
何とか母猫代わりになろうと、
噛みついたりして甘噛みの加減を教えたのは、
彼だけだ。

当時は私たちも慣れていなくて、
家の隙間からよく脱走した。
知恵比べは、先に必ず彼が勝つ。
その反省で、いま脱走できる猫はいない。
帰ってこないと不安になった。
ずっと彼の名前を呼んで、近所を歩き回る。
見つけて安堵する。
彼がいないとダメな自分に気がついた。
今年も変わらず暑い日が続いている。
ちょうど2年前の今日のように。
ぽっかり空いた大きな穴は、色んな後輩たちが埋めてくれる。
楽しい毎日。
けれども油断すると君を思い出す。
私たち夫婦の会話に、君の名前が出ない日はない。

ボロボロになった、私たちの初めての、
キャリーバッグが捨てられない。
そこはレプン姐さんが家にしてる。
他にもっといいキャリーはあるのに、不思議なもんだ。

私と嫁と、ウタリさん。
さんにんだけの生活は、意外と短かったけれど、
君がいるから、キムンもピリカも受け入れることができた。
そして、
彼らがいたから今、ナミがいる。
不思議なことに、動物フラグが立たなかった私たちの人生には、
猫族との縁がどんどん繋がる。
そのキッカケはそう、
ウタリさん。

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