視線の方向に目をやると……いつの間に登ったのか、棚の上に積んだ空き箱の上から美雨様がこっちをじっと見ている。

美雨「ふふふ……たかいところからかーさんをいつもかんししてるわよ」
最近はこの場所によく登っている。
美雨様にとってはこの場所がキャットタワーのようなものだ。
棚の上の箱は落ちてきてもいいようにほぼ空き箱だ。
捨ててもいいのだが、美雨様が好んで乗っているので、敢えて置いたままにしてある。
段差がある方が面白いらしい。
ちなみに我が家にはキャットタワーはない。
うちの主人が頑なにキャットタワーを置く事を嫌がるからだ。
理由
①買ってももし美雨が使わなかったら邪魔だから
②ただでさえ狭い部屋がさらに狭くなるから
③敢えておかなくてもいろんなところに勝手に登ってるから(これが最大の理由)
まあ、実際のところ、先代の長吉の時で懲りているからというのがある。
主人にとって長吉は初めて飼う猫で、それはもうべた可愛がりしていた。
最初の頃はあれこれといろんなものを長吉のために次々買ってきていた。
ふかふかの猫ベッド
おやついろいろ
いろんな種類のおもちゃ
可愛い首輪
ところが、長吉はおもちゃやおやつ、家具の類に特に好みがうるさい子だった。
ベッドは一度も使わぬまま
おもちゃは嫌いなものは触りもしない
おやつは好みのもの以外は匂いすら嗅がない
首輪はどれも食いちぎって外してしまう
最初は購入を考えていたが、こんな調子だからタワーは買っても無駄だろうということになった。
せいぜい椅子の上やベッドの上に登るぐらいで、あまり高い場所に登ろうとしない子だった。
未使用のベッドは結局最後まで長吉が使うことはなかった。(そしてその後、美雨様が我が家に来た初日に、うんちを盛大にその上に漏らして廃棄処分になった)
美雨様は高いところによく登るので、買えば使うと思うが、見ているとより難易度の高い場所を好んで登っている傾向があるので案外使わないような気がする。
美雨様、そこからどうやって降りるの?障害物があるよ?

美雨「こんなの、ちょろい♪」
黒いワイヤーラックを難なくまたいで、一段下の棚の上へ。

美雨「さて、どのばしょにおりようかなぁ♪」

美雨「ちゃくちポイントけってい」

美雨「とうっ!!」(華麗に着地)
キャットタワーがなくても美雨様は自分専用のアスレチックを見つけて勝手に遊ぶので、今後も我が家はタワーを買うことはないだろうと思う。
ちなみに、最近はキッチンの椅子の背もたれの幅の狭い部分に乗って箱座りなどしてご機嫌なようである。
美雨「なんでもたのしくあそべるよ♪」
良いことです美雨様。
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