幸い、手の傷も徐々に良くなってきました。
おそろしや、野生の本能。
あんなこわい思いをしたむうた。
もしかしたらもう来てくれないかもしれない。
ごめんね、むうた。
なんて思いとはうらはらに、次の日からもむうたはごはんを食べに来てくれていました。
よかった。
そうだね。
ここしかごはん食べられるところないんだもんね。
外は寒いし。
安心してゆっくり眠りたいよね。
もう、これ以上むうたを怖がらせのはかわいそう。
捕獲は諦めようか…
そんなことを考えながらも、獣医さんに相談。
「捕獲器ありますよ。ただで貸しますよ」
あるんかいっ!
「貸してくださいっ!」
11月の初め。
捕獲器を借りて、むうたの寝床近くに設置。
においが強いおやつにち○〜るをつけて、おいしさを演出。
「これでダメなら諦めよう」
そんな思いで、ただ待つ時間。
3時間後、捕獲器を見に行くと、
な、なんと捕れてました。
むうた、しっかり捕獲器の中にっ!
大暴れ!
今にも捕獲器が壊れそうな勢いで暴れています。
すぐさま動物病院に電話。
「捕れました!」
「すぐに連れて来てください。捕獲器のままでいいので」
暴れるむうたを車に乗せて、捕獲器の上から毛布を掛けて、片道1時間の動物病院へ。
最初は暴れていたむうたも、途中から大人しく。
そして無事病院へ到着。
むうたを一目見た先生。
「このよだれは元から?」
「はい。ずっとです」
「とりあえずお預かりして検査しますね。去勢もしますか?」
「お願いします。去勢も駆虫も血液検査も。お口の治療とできればワクチンも。とにかく色々してください」
とりあえず入院することに。
次の日から毎日、遠回りにはなりますが、母の病院に行く前にむうたの病院へ。
2日目。
むうたは捕獲器に入れられたまま、病院のケージに入れられています。
狭い捕獲器の中で精一杯身を小さくして威嚇してきます。
「むうた、ごめんね。こんな狭いところに閉じ込めて」
元々、じっと人の目を見る子だったむうた。
その日もむうたはじっと私の目を見てきますが、警戒MAX。
次の日も、また次の日もまだ捕獲器の中。
「つらいね。苦しいね。怖いね。ごめんね。もうすぐ一緒に帰れるからね。それまで我慢してね」

そして、むうたが入院して4日目。
獣医さんから電話が。
「むうたちゃんの血液検査をしたんですけど」
「はい」
「白血病は陰性でした」
よかった…
胸をなでおろす私。
「でも、猫エイズは陽性で」
「は?陽性?それってキャリアってことですか?」
「いえ。すでに発症してますね。口内炎や舌炎もそのせいですね」
一瞬、目の前が真っ暗に。
どうしよう。
どうしたらいいのかな?
「もう、外には出さない方がいいですね。できれば家の中で飼ってあげた方が。詳しくは明日来られた時に」
「…そうですか。わかりました」
電話を切った後、様々な思いが頭をめぐります。
「猫エイズ?もう長くないのかな?」
「家で飼うって、ちまがいるのにできるのかな?ちまに感染したらどうしよう」
「そもそも、うちの子になってくれるのかな?」
「これからも治療していかないといけないよね?お金、どれくらいかかるのかな?」
不安しかありません。
むうたは飼えない。
無理だ…
そう思いながらも、私はむうたのためのケージとトイレ、給水器、猫ハウス、その他諸々をネットで注文していました。
むうたは外では生きられないかもしれない。
むうたをうちの子にしよう。
無理かどうかはやってみてから考えよう。
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