たくさんいる我が家ですが、彼が来た年は今でも覚えています。
2007年の秋のことです。
その日は私は休みで主人だけが仕事でした。
お昼ぐらいに主人から連絡がありました。
「今から家に帰ります」とのメールが。
普段なら18時ぐらいしか帰りませんから、何かあったのだろうか・・・・
私は主人が帰ってくるのを待ちました。
しばらくして、主人が帰宅しこう言いました。「車でまた会社に行くから。」
私は何があったのか主人に尋ねました。
「会社のビルの上から猫が落下した。5階の高さはあるところから落ちて、動けないけど警備さんにすごい威嚇をして誰も触れないし、捕まえられないから、警備さんにどうにかできませんか?と相談された。
もう一回会社に行って捕まえてくるよ。」と。
話を聞くと、落下したのが原因でケガをし、後ろ足が動けないらしい。
とにかく会社にいたままでは、保健所に連絡されてしまうとのことでした。
主人に、連れてくるのはいいけど、すぐ病院に行かなくてはならない。骨折とかしていたら治療費かかるよ?と言いましたが、そのままにしておけないと言うことで、車で迎えに行きました。
数時間経ち、主人が猫と帰宅しました。
激しく抵抗されたようで、手が傷だらけでした。
オス猫は生後4ヶ月ぐらいでした。生粋の野良猫でした。
かかりつけの病院が休診日で、わりと近くにある病院へ行きました。
経緯を説明し、レントゲンを撮っていただきました。
レントゲンの結果、専門病院で手術しないと無理とのことで、手術しないと助からないと言われました。
名古屋にある整形の専門病院を紹介していただき、そこへ行きました。
詳しく診て頂くと、骨折のオンパレードに脱臼、骨盤が狭くなってしまったので今のままでは排泄も無理。
足にプレートとボルト入れ固定するなど、大掛かりな手術でした。
病院の先生が言いました。
「費用が30万円はかかりますが、出せますか?」
聞かれるのは当たり前な高額です。そして、うちの猫ではなく野良猫・・・・
野良猫にそんな高額な治療をするのか?とのことだと思います。
主人も私も意見は同じでした。
「手術しなければ助からないなら、手術して下さい。」
その日から入院し、オス猫と私たちの微妙な関係が始まりました。
手術の日は大きな手術室の外で私たちは待ちました。
何時間も待ちました。先生も4人がかりでした。
4時間ぐらいたったころか、手術も終わり先生に呼ばれました。
「手術は成功しました。排泄もできます。」
なんの縁もない猫なのに、なぜか心から安堵したのを覚えています。
私たちはお見舞いにも行きました。ケージの中の彼に話しかけても無視・・・
それはそうです。気づいたらケージの中、下半身は痛い・・・
私たちは何回かお見舞いに行きましたが、「バイバイ。また来るね。」と行って帰る日々。
オス猫は退院しても安静にしなければならず、しばらくはケージ暮らしでした。
触れないオス猫との暮らしは不安でした。
我が家は当時13匹ぐらいいて、うちの猫たちとの相性も心配でした。
どうしても馴染めないなら、外に放すことも考えていました。
我が家に来てからのオス猫は、威嚇することなくだんだんと家での暮らしに馴染んでいきました。
心配した足の歩行にも問題なく、高いところへもジャンプできました。
主人と、この子の名前について話をし、これからの人生楽しくと言うことで、楽にしました。
それから楽はもう11年我が家にいます。面倒見のいいやさしいオス猫になりました。
費用は高額でしたが、満足しています。
今でも楽には嫌いな言葉があります。
「楽、バイバイ〜〜」と言うと走ってやってきます。
あの当時を、うっすら覚えているのでしょうか。
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