なので、実家に帰った時に顔を合わせる程度。
嫌われてはないけど、特別なつかれてもいない、微妙な距離感。
寝ているところを撫でさせてはくれるけど、お膝には入ってこない。
そんな私が、母の入院をきっかけにちまさんのお世話係に。
実家に住み始めた私に、最初ちまさんは警戒モード全開です。
そりゃそうですよね。
ちまさんにしてみれば、ちまさんの家にいきなり私が住み始めたわけですから。
なので私は、いつもちまさんのテリトリーにお邪魔させてもらっている気持ちで、出来るだけちまさんを刺激しないよう努めました。
朝早く家を出る私は、ちまさんを起こさないように、そ〜っと準備。
昼間おなかが空かないように、家のあちこちに置きエサ。
そして、ご機嫌とりのため、毎日のブラッシングとおやつ。
なんとかして気に入られようと必死です。
寝るときも、ちまさんが安心できるように、まずは居間のコタツから始めました。
私が居間で寝始めると、ちまさんはコタツに入ってきます。

コタツで一緒に寝られるようになったら、次は母の寝室で寝ることに。
いつも寝ていた場所なら、ちまさんも安心して寝てくれるはず。
ちまさんは戸惑いながらも、一緒に母のベッドで寝てくれるようになりました。
ベッドで私の足元で丸まって。
おそらく、母ともそうしていたのでしょう。
しばらく母の寝室で寝ていた私ですが、次はいよいよ私の部屋に誘導です。
滅多に私の部屋に入ったことがなかったちまさん。
最初はなかなか来てくれません。
それでも、私が二階に上がると、後ろをついて来るように。
はじめのうちは私の部屋の隣の部屋で寝ていたちまさんですが、いつしか私のベッドで寝るように。
ちまさんが私のベッドで寝てくれるようになったので、シングルだったベッドをダブルに買い換え。
これで一緒に寝ても広々寝られるよ。

少しずつですが、ちまさんは私に心を許してくれるように。
私がいる時は、私の部屋で過ごすようになったちまさん。
昼間は私が仕事に行っているのでお留守番です。
私が帰るのは、外が暗くなってから。
帰ると家の中は真っ暗です。
こんなに長い時間、ひとりでお留守番したことがなかったちまさんは、昼間、よっぽどさみしいのか、私が帰ると玄関まで鳴きながらお出迎えしてくれるようになりました。
そんなちまさんを見て、私も胸が熱く…
「帰ったよ〜!ちまさん、ねぇね、帰ったよ〜!ごめんね〜。さみしかったね〜」
もう、毎日が「南極物語」です。
私がお風呂に入ると、バスマットの上で待っています。
寝る時は、足元ではなく私の胸の上です。
広いベッドにした意味、全くありません。
私が仕事に行く時は、二階の窓から屋根に出て、屋根の端っこまで追いかけてきます。
出かける私をずっと見ています。
「ねぇね、またどっか行くの〜?なんで毎日お出かけするの〜?」
とでも言うように。
もう耐えられないっ!
ちまさんとの距離が近づけは近づくほど、ちまさんを置いて毎日仕事に行くのがつらくなってきます。
仕事中もちまさんのことが気になって仕方ありません。
早くちまさんの待つ家に帰りたい気持ちでいっぱいです。
母の病状が悪化したことを期に、私は在宅勤務へ。
昼間は母の病院へ行くにしても、これで、ちまさんと一緒にいられる時間が少しでも増える。
そんな気持ちでした。
ちまさんのお留守番の時間は昼間の明るい時間だけになりました。
母の病院から帰ると、毎日一緒にお散歩。
私が帰ると、
「お散歩いこ」
と催促。
はぁ…
なんか、幸せだなぁ。
もちろん、母の看病、そして病状の心配はありますが、そんな疲れた心と体をちまさんは小さい体で一生懸命癒してくれます。
私が母の病院に泊まらなければならなかった時、夜出て行く私をちまさんは玄関まで追いかけてきます。
「ごめんね、ちまさん。朝には帰ってくるからね。ひとりでねんねできるよね。いい子でお留守番しててね」
と言い聞かせて病院へ。
早朝、ヘトヘトになって家に帰ると、私のベッドにちまさんはいません。
ちまさんは、二階の窓際、私が作ったちまさんのための見張り台の上にいました。
私の姿を見ると、鳴きながらベッドに上がってきます。
どうしてこんなとこで…?
その疑問は、一階に降りてわかりました。
ちまさんは縁側のカーテン全てにスプレーしていたのです。
すぐに洗いましたが、洗いながら切なくなりました。
今まで、夜のお留守番をあまりしたことがなかったちまさん。
突然、夜、ひとりぼっちにされたちまさんは不安で仕方なかったのでしょう。
私がいない家の中で、
「ねぇねがいない間、ちまがこの家まもらなくっちゃ!ちまのにおいつけて、こわい人が入らないようにしなくちゃ!」
と一生懸命だったのでしょう。
家を守るために、家中のカーテンに必死でスプレーするちまさんの姿を思い浮かべて、なんだか胸が苦しくなってきます。
そして、私が帰ったとき、すぐにわかるように、わざわざベッドではなく、窓際の見張り台で寝ていたのです。
「ちまさん、さみしかったね。不安だったね。悪いねぇねだったね。ごめんね、不安にさせて」
仕方ない事とはいえ、ちまさんをこんなにも不安にさせてしまったこと、本当に後悔しました。
ちまさんがいなければ、私は実家に帰ってくる必要はありませんでした。
仕事をしながらアパートから母の病院に通えば良かったからです。
でも、ちまさんがいなければ、私は確実にこの激動の数年間を乗りきれなかったはずです。
こんな小さな体で、私に大きな力を与えてくれたちまさん。
ちまさんがいたから頑張れたのだと、今、心の底から思います。
ちまさんは私のかけがえのないパートナー。
大切な大切な宝物です。
もっとも、ちまさんがどう思っているかはわかりませんが。
そんな今日のちまさん。
部屋に侵入しようとする、見たことのない生き物にくぎ付けです。

そして、その相手はもちろん

カラーをつけたむうた。

ちまさんにしてみれば、
「何あれっ⁈なんか変なの来たっ‼︎」
って感じですかね。
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