みんな、いつもむうのこと応援してくれてありがとう。
むう、ママのおうちに来て一年たったよ。
最初はママにつかまって、むう、こわいところに何日も入れられて、もうこの狭いおりから出してもらえないと思ってた。
毎日おしりにチッカされて、こわくて心細くて、ごはんもたくさんもらえなくて、さみしかった。
でも、ママが
「もう大丈夫だよ。一緒におうちに帰ろうね」ってむかえにきてくれたんだよ。
むう、知ってるおうちだったけど、こわくてよそのおうちににげだしちゃったんだ。
ママのママがいなくなったって、そのおうちの人が言ってた。
ママのママもこわくてにげだしちゃったのかな?
しばらくしてママは何度かむうに会いに来てくれたけど、むう、またこわいところにつれて行かれると思って、いつもママがくるとかくれてたんだ。
でも、ママがあんまりさみしそうにするから、むう、勇気を出してママのところに行ってみた。
ママはむうがお外にうずくまってたら、すぐにごはんをくれたよ。
よそのおうちではもらえなかった、あったかいミルクとやわらかごはんだった。
ママのおうちにいれば、あったかいごはんがもらえるんだ。
むうはママのおうちに帰ることに決めたんだ。
ママはむうのこと、抱っこしてくれたよ。
いい子だ、いい子だってほめてくれた。
むう、いい子なんだね。
むうはとってもうれしかったよ。
ここがむうのおうちなんだって。
むう、このおうちの子になったんだ。
むうはもらわれっこだから、おもちゃもいいのは使わないんだ。
むうはこれでじゅうぶんあそべるよ。

先っぽについてたやつは、むうにはもったいないからちぎったよ。

ママは「あ〜っ!」って言ってたけど、大丈夫。
ほらね。
じょうずにあそべるでしょ。

むうはママと一緒にいられるだけでじゅうぶんなんだよ。
ママが笑ってくれると、むうもうれしくなるよ。
ママをえがおにするのがむうのやくめなんだ。
そのためだったら、むうなんでもするよ。
ママはいつも、ぼくは長男だからおうちを守ってママを助けてね、って言うよ。
だからむう、ママのためにがんばるんだ。
ママにいつも笑っててほしいんだ。
なのに、どうしたの?ママ…
今日のママは元気ないよ。
いつもみたいに笑ってないよ。
なんだかすごくつらそうだよ。
今日はお天気もいいから、楽しくなって、むうたくさん走って遊んだのに、ママはなんだかつらそう。
そうだ。
むう、鼻チョンしてあげる。
お鼻ペロペロしてあげる。
ね、むうやさしいでしょ?
ね、むういい子でしょ?
それでもママ笑わないよ。
どうしたの?ママ…
泣いてるの?ママ…
むう、ほっぺもお口もペロペロしてあげる。
ママのなみだもペロペロしてあげる。
だから泣かないでよ、ママ。
ママが泣いてると、むうもつらくなっちゃうよ。

ママ、おなかいたいの?
そうだ。
むうのお薬あげようか?
ママ、いつもお薬飲むと元気になるんだよ、ってむうに言ってるでしょ?
だから、むう、にがいけど頑張ってお薬のむんだよ。
ママもお薬飲んだら元気になるかな?
ママ、どうしてそんなにつらそうなの?
ママ、笑ってよ。
ママがつらいと、むうも悲しくなっちゃうよ。
もっともっとペロペロしてあげるから。
ママ、おなかすいたの?
むうのごはん食べる?
むう、ママにならごはんあげてもいいよ。
ママ、なにかほしいものある?
むう、もってくるよ。
「小麦粉…」
こむぎこ?
なに?それ?
「それと新聞紙」
しんぶんし?
どこにあるの?それ。
ママ、こむぎことしんぶんしがあれば元気になるの?
むう、さがしてくるよ。
こむぎことしんぶんしでママなにするの?
「それはね、むうたが倒したポリタンクの灯油を片付けるためだよ」
あ〜、あれね。
むう、たおしちゃったね。
むう、びっくりしちゃったよ。
ちょっとはしゃぎすぎちゃったからね。
なにかくさいものがたくさん中から出てきたよ。
あれ、くさいね〜。
むうもちょっとくさくなっちゃったよ。
あれ、だめだね〜。
「むうた。お風呂入らないと」
おふろ?
おふろ、むういやだよ。
むう、おふろきらいだから。
「ダメ。むうた、灯油臭いから!」
あ〜、くさいね。
なんかくさいね。
でも大丈夫。
むう、いい子だからママにめいわくかけないよ。
ちゃんとなめてきれいにするから。
「風呂入るんじゃ〜っ!」
ひどいよ、ママっ!
むう、ママのこと心配してたのに、おふろやだよっ!
「じゃあ、灯油をこぼすんじゃないっ!」
あれ、かってに出てきちゃったんだよ。
むう、ちょっとひっかかっただけだもん。
むう、わるくないよっ!
ひどいよ、ママっ!
おまえもなっ!
むう、しょんぼりだよ。

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