見上げた空は春の雨。

2018年3月20日(火)

242 / 2

今朝は少し肌寒い春の雨が降りました。
いつもの通り道の途中で雨に少しだけ濡れた桜は美しくて
足を少し止めて雨の中、ちょっと思い出に浸りました。

うちの子がお空に昇ったのは、出社前。
朝もちゃんとご飯を食べて、ブラッシングしようとした時。
いつも通りに背中を向けてお座りしていたその背中をみて
ふと、何か糸が切れた様な違和感と同時に、あの子は崩れ落ちました。
急に心臓が、止まってしまいました。

うちの子は、親孝行だと思います。
私の言葉を守って、決して一人ではお空に逝かずに
ちゃんと一番の約束を守ってくれました。

病院には通った事はあるけれど、大きな病気をした事はなく
歯もちゃんと揃っていて、好き嫌いもそんなにしませんでした。
お年柄、腎臓の数値が少し心配で闘病生活を迎え撃とうと
二桁の年齢になった昨年から前年以上に気合十分で戦闘態勢だったから
一瞬、ぽっかーーーんとして、私も時が止まりました。
なんというかもう「はぁーーーーーーー？！！！」と。

本当はもうあの子の時は止まって動かない事。
それを受け止めて次に自分がする事。

いつかの時のためにと、ネットで調べた亡くなった直後にするべき事。

私がするべき母親としての最後のお世話は
体の硬直前にするべきケアと葬儀であって、
泣き崩れる事でもパニックに陥る事でもないという事が、
どうした事か早打つ心拍数とは裏腹に、はっきり自分で理解できていて
心は通信が切れた様にとても静かな感覚でいました。

ただ、この子の最後のステージが美しい姿でありますように。
間違えても変な顔やポーズにならないように。
だって、女の子だもんね。

急いで探した救急対応をお願いできた病院でも
私はそんな事しか、頭にありませんでした。
病院へは、ただ、亡くなったという事実だけを
受け取るために行きました。

朝の交通ラッシュでタクシーも進まないほどでしたが
二人でゆっくり車にのって、静かに風景を見ていました。

この不思議な感覚を、私はいつもどう表現したらいいのか
わかりません。

ただこれほどまでに、私はうちの子と何かが通じていた事を
悲しみと同時に誇らしく思いました。
彼女の最後をしっかりケアした後は今も含めて散々ですが、
しっかり私もお母さんができたかな？と、時々苦笑してしまいます。

あの子がお空に還ったのは、今日と同じ少し肌寒い雨の日。
だけど季節は戻って秋雨でした。これを人は昔から「涙雨」と言いますね。
後悔がない訳ではないですが、上を向けばあの子の笑顔が
ちゃんと毎日見えるので、私は上を向いて歩きます。

そんな事を思う、春の朝でした。

13 ぺったん