
毎朝会社に行く前に、あとら君を抱っこしてベランダに出るのが日課。
あとら君は昔の野良の記憶が甦るのか、外の匂いを一生懸命嗅ぐのだ。
その時だけは抱っこさせてくれる。
だがその日は異常に嫌がり、食欲もなく元気もないことに気づく。
少しでも触られるのを嫌がる。
無理矢理抱っこしようとしっぽの上に手を回すと「うぎゃー」と痛がるような声で鳴く。
お尻だと思った。
そっとしっぽを上げて肛門を見る。
そして思いっきり引っかかれた。
なにかおできみたいなのができたのか…
直ぐに病院へ。
引っ越ししてきて初めてのクリニックで診察。
肛門膿というやつだった。
直ぐに施術してもらったのだが、
相当痛いのかもの凄くあばれました。
私は深く噛まれ、先生におしっこひっかけた。
必死に逃げようとするあとら君は何を思ったのか、
私のお腹のあたり、服を掻きむしって中に入ろうとする。
「母ちゃん、助けて助けて!!!!!」
必死すぎるあとら君を見て私が狼狽えると、施術室から出てくださいって言われてしまった。
確かに見ていられなかった。
必死に助けを求めてくれているのに何も出来ない。
それを見届けることも出来ない。
待合室に居てもあとらの悲痛な叫びが聞こえてきて、
何で早く気づいてあげられなかったんだろう…って自分を責めた。
その日は私もあとら君もぐったりして家に帰ってきた。
暫くはやわらかうんちだったけど、お尻を切った時のストレスからということだった。
私の方は再発はしたが、それから薬での治療になった。
それは今でも続いているが、このままいけばもうほぼ完治するであろう。
あとら君はすでに老年期。そのクリニックで他にも色々検査してもらった。
「腎不全」「心臓疾患」「ヘルニア」
クリニックに行くたび、病名が増えていく。
心臓に関しては普通左側あるのにレントゲンで見ると若干右側にある。雑音も聞こえる。
詳しく検査(別のMRIの設備がある病院に行く)しないと治療方法も見えない。と言われた。
「出来る事なら何でもしてあげたい。」
家族として当然の気持ちで本気だった。
けど、先生に言われた。
「もう17歳、人間でいうと長寿に入ってる。ここに来るにもストレスなのに、ここより遠い病院に行って検査の為だけに麻酔するとなるともっとストレスかかる。それで治るわけじゃない。病名が分かりそれから治療。その治療で完治するかどうかも分からない。今ある寿命がそのストレスで縮まる事もある。よく考えて一番この子にいい方法を飼い主さんが決断してください。」
重い言葉だった。
ずっと一緒にいたい。もっと一緒にいたい。
でもあとら君の苦しむ姿も見たくない。
すっっっごく悩みに悩み、「腎不全」の治療のみに専念することにした。
それから4年にわたる自宅での点滴治療がはじまりました。
フードも一般に流通していない病院食に切り替えました。
時折痙攣して倒れることもあり、点滴の量も増えていきました。
それでもあとら君、食欲だけはあり(金額の)高い病院食をモリモリ食べてくれました。
その分飲む水の量も増えていき、それでもいっぱいおしっこもうんちもいっぱいしてくれました。
ぺっと保険に入れていればなぁとこの時思いました。
私の病院代とあとら君の治療代に毎月赤字に。
そんな時にこんな時に、
知らないうちにまさかの会社倒産。知らずに一週間働いてました。
人生何があるかわかりませんね。
リストラされた時より大ピンチに陥りました。
そしてまたつづくのであった。
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