
表で、かあかあ、があがあとカラスの合唱が聞こえていたので、はっと思って外に出たら、十数羽の黒い影が一斉に飛び立って、出していた収集前のごみを食い散らかされてしまった。うちはまだいい方で、数軒向こうの家の前では、ごみ袋が通りの真ん中まで引きずられて、惨憺たる有様である。前にニュースで、首都圏あたりではカラスが街で群れているのが問題になっているという話を聞いたけれど、人事ではないらしい。
驚いて一度は飛び立ったカラスだが、賢い鳥だから、私のことなど恐れるに足らないとちゃんとわかっていて、人がいなくなればまたごみを漁ろうと、屋根の上や電線の上から遠巻きにしてこちらを伺っているその視線が、頭の上に感じられるような気がする。同じ鳥なのに、庭にやって来るメジロやヒヨドリと違って、カラスには可愛らしさが全然ない。鳴き声もそうで、かあかあ、があがあ、まったく人を馬鹿にしているような声で鳴く。散らかったゴミを片付けている私のすぐ真上にいるカラスが、かかかか、かかかか、と鳴いている。明らかに嘲笑しているようである。
実家はここよりだいぶ山が近いので、少し事情が違うかもしれないが、よく外猫用に置いてあるえさを狙ってカラスが飛んできた。えさを散らかしてしまって困るので追い払うのだけれど、ちょっとやそっと脅かしたくらいでは、賢いカラスは応えない。はじめは、家の中から物を投げつけるジェスチャーを見せただけで逃げたのだが、数回やるともう嘘だとばれて逃げなくなってしまった。そこで、窓からネロの顔をのぞかせてみたところ、カラスは一目散に飛んでいって、しばらくは戻ってこなかった。トラ猫のひと睨みは効果がある。
みゆちゃんも、メジロとおしゃべりばかりしていないで、少しはカラスを追っ払うくらいしてくれないかと思う。しかしみゆちゃんのとぼけた顔を窓から覗かせたら、逆にカラスに突っつかれそうで、甚だ心もとない。
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