大阪のある居酒屋さんの話です。
その居酒屋の店主が仕込みをしていると、どこからか声が聞こえたような気がしました。
…という所から話は始まりました。
その居酒屋さん。建物は、いわゆる昔の文化住宅。 長屋のすべてが店舗として使用されていました。

築50年近くの古い建物で壁も薄かった為、隣の店から聞こえてくるのかと思っていましたが、 「その声」は、毎晩やむことなく、10日もの間、断続的に聞こえました。
ある日 店主さんは、店にやってきた常連さんに10日ほど前から聞こえてくる声について相談してみました。常連さんは、声がする方に行き、壁に近寄り耳を澄ませてみました…。
すると、 そこからは猫🐱の声が聞こえました。 猫の声は、何かを訴えるように何度も聞こえてきました。
常連さんに確認してもらうと、声は隣の店との境の壁の外、出っ張ったあたりから聞こえてくると分かりました。
どこから侵入したか分かれば、正確な居場所も推測できそうだったが、猫が入り込めそうな穴はなく…、店の中をくまなく調べてみても、隙間は見つかりませんでした。
店舗正面の地面の下に、止水栓がありました。 そこから壁までは20センチほど。 ここから手を入れれば、壁の中にいると思われる猫を救出できるのでは?
そう思いましたが…、止水栓がほとんど見えないほど土に埋まった状態でした。 常連さんは、猫を助けようと土を掘り始めました。
実は、常連さんは大の猫好き😁
壁の中に猫がいるかもしれないとあっては、放っておけませんでした。 中はとても狭く、男の手で掘っていくのは限界でした。
作業をしていると、女性的3人が通り掛かりました。話をして、女性が腕を入れてみましたが、やはり無理でした💧
猫の救出を試みてから、すでに2時間が経過…時刻は深夜0時を回っていました。 諦めかけたその時、パトロール中の警察官が通りかかりました。
事情を説明すると、なんとその場で消防にレスキューの出動要請をしてくれました。

わずか10分後にはレスキュー隊が到着。 レスキュー隊はドリルを使い壁に小さな穴を開け、カメラで覗きましたが、何も見えませんでした。 これ以上は建物を壊してみないと分からないと言います。
店は店主さんが大家さんから借りている賃借物件。 家主の許可がないと勝手に壁を壊す事は出来ません。
それを聞いた3人の女性、「早く壁を壊してにゃんこを助けろ!」と。「壁よりにゃんこの命の方が大切だ!」と、レスキューさんを問い詰め出しました😅←気持ちは分かります(笑)
さらに、たとえ壁を壊す許可を貰えても、構造が分からない状況で下手に壊せば崩壊し、肝心の子猫の命が危険にされされる可能性がありました。
結局その時はどうにもなりませんでした。
猫の声を聞いてから、およそ10日が経過していました。 専門家によると、猫が10日も飲まず食わずでいれば、いつ限界が来てもおかしくないと…。 さらに季節は真夏。 昼間の気温は優に30度を超えていて、 命のタイムリミットは、確実に迫っていました。
翌日…常連さんは、さすがに大事な商談をすっぽかすわけにはいかず、悩んだあげく、他に頼める人を探していました。
怒られるのを覚悟で社長さんに相談してみたところ、害虫駆除の会社を経営する知り合いの方なら子猫を助けられるかも…と言います。社長さんは、その方に連絡をしてくれ、子猫の救出を頼み込みました。
一方、店主さんは、ほとんど眠る暇もないまま、不動産会社が開くと同時に電話しました
。大家さんは海外旅行が好きなので、もしかしたら海外旅行に行ってるかもしれません。
もし大家さんが海外に行っていたら…帰ってくるのは何日後になるか分かりませんでした。 それまで子猫の命がもつとは思えません。
救うためには、無許可で壁を壊すしかなくなります。店は2年前、店主さんが脱サラして始めた念願の店でした。 無許可で壁を壊せばようやく持てた自分の店を追い出される事態も考えられました。 しかも、もともと店主さんは、大の犬派🐶でした。
悩んだあげく店主さんは、奥さんに話してみました。すると奥さん、「壁を壊してでもにゃんこの命を!」と…。奥さんは大のにゃんこ好きだったのです😁
ようやく大家さんと連絡が取れ、壁を壊す許可がもらえました。 そのことは、社長さんと頼みの綱の害虫駆除の方にも伝えられました。
11時半をすぎ12時が過ぎました。太陽が照りつけ気温はぐんぐん上がり、30度を超しました。 少しでも温度を下げようと、店主さんとは定期的にホースで水をかけていました。
なんとその時、話を聞いていた店主さんの母も心配で来ていました!

そして、午後1時半を回った頃、害虫駆除の方は駆けつけてくれました!
実はその日は、高校生の息子さんに手伝いを頼まなければいけないほど、忙しい状況にも関わらず、朝、社長の電話を受け、午後の仕事を全てキャンセル。 大家さんのOKが出たと聞くと、すぐに駆けつけてくれたのでした。
大家さんに確認したところ、古い建物の為、設計図は残っておらず、どんな構造になっているか分かりませんでした。
子猫を傷つけずに救出するには、どの位置に閉じ込められているのか、正確に把握する必要がありました。
侵入経路さえ分かれば、子猫がどこにいるか見当がつく…、現場をつぶさに観察。
すると、シャッターの再下部にホコリのようなものがついていることに気が付きました。 よく見ると…そこに猫の足跡🐾がついていました。
その居酒屋さんが入ってる長屋は、すべての店舗にシャッターがついているため、その中が長い通路になっており、野良猫が自由に行き来できる状態だと考られました。
構造上、親猫が子猫をくわえ、シャッターの上を通った際、子猫だけがあやまって落下。 運悪く壁の空洞に落ちてしまったのではないか?と…。
灼熱の中、猫に危険が及ばないよう慎重に、セメントを削る地道な作業が始まりました。
その頃、常連さんは商談を終え、急いで居酒屋さんに向かっていました。
自分も猫のために何かできるかもしれない…いてもたってもいられませんでした。
常連さんのもとに電話がかかってきました。 電話からは子猫の鳴き声が聞こえてきました。 ついに、子猫は救出されたのです!

2度と同じようなことが起こらないよう、侵入したと思われる穴を塞ぐと、それからは居酒屋さんの壁の中に猫が閉じ込められることはなくなりました。
壁の中から救出された猫を動物病院に連れて行ったところ、生後わずか10日くらいのメスだということが判明。 そして、衰弱してはいたが何の障害も残らないとのことでした。
奇跡の救出劇から2年、壁から出てきた子猫は救出された後、店主さんによって飼われることになりました。 名前は臨ちゃん🐱🎵
もともと犬派だった店主さん、なぜ猫を飼うことにしたのか?
「もうこの子の『生きたい!』って声を聞いてどうにかして家に呼ぼうって決意をしました。」と店主さん。
元々、犬派だった店主さん。
スタッフが、「店主さんは今、犬派ですか猫派ですか?」と質問したところ、店主さんは「今は、本音言うと臨ちゃん派と言うか…、他の猫を見ても、それほど…。うちの方がやっぱり可愛いなって思っちゃったりするくらいなんです。」と、笑顔で話していました😊
↑ちなみに、私の旦那も同じく犬派🐶でしたが、ひめちゃん派🐱になりました(笑)😁
臨ちゃんは、すっかり身体をくっつけ抱っこして貰っていました😊
あんなにすっかり身体をくっつけて、大切に可愛がって貰っていると感じました😊

小さな仔猫の救出された命…。
感動しました😊✨✨✨
またもや、目から流れるものが…。
1匹の仔猫の命を助けたい…が為に、猫好きと温かな人間達、本当にたくさんの人達が関わり、無事に仔猫を救出しました✨✨✨
このような温かな話がチラホラと聞こえる、温かな心を持った人達が、もっと増えると良いですね😊
言葉をまとめるのが下手くそな私、まとめながら書いたつもりが、それでもかなりの長文になっていました。
申し訳ありません🙇
と同時に、最後まで読んで下さった方がいましたら、ありがとうございました🙇
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