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子供たち、早起きして「どーぶつびょーいん、はやくいこー」という。
いや、6時半からは動物病院はやっていないよ。
仔猫はお腹の具合が良くない。
ノミだけじゃなくて何かいるんだね、きっと。
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私は実家のある土地に住んだことがほとんどない。
でも先代の猫がいた頃…それより以前犬がいた頃…お世話になった動物病院は知っていた。
8時半。動物へ向かう。
「ママ、この道知ってる。ずっと前、どーぶつびょーいん行ったよね」
そうだ。2年前に実家に来たときのことだ。
県道を車で走行中、前方脇に黒い塊が落ちていた。
猫だ。事故にあったんだろう。
近くなるに連れてはっきり見える。
まだ生きてる!このままじゃ後続の車にひかれてしまう。
まだ4歳、3歳の息子たちはなぜ車が止まったのか訳もわからず「ママ、どーしたの?なに?」ときく。
答えている暇もなく、公園の滑り台で使うはずだった段ボールとそこにあったバスタオルを持って、「あとで新しいの探してあげるからコレかしてね」
後続のトラックが煩わしそうに見ていた。
黒猫はたぶん頭部をぶつけていた。
瞳孔の大きさが左右異なり、はぁはぁ言っていた。
パニックを起こさないように声をかけながらバスタオルでくるみ、段ボールに乗せて車の後部座席の足元へおいた。
…たぶんもう助からないかもしれない。
それでもわかる限りの動物病院へ電話をかけて、見てもらえるか問い合わせた。
そして向かったのが、子供たちが知ってると言ったその道だった。
道の途中、子供たちは血まみれで暴れる猫を見て怖かったのかもしれない。
次第に弱っていく猫を見て「ママ、猫ちゃんもう動かなくなっちゃったよ」
動物病院に到着する前に、その猫は死んだ。
子供たちはまだ『死ぬ』ということはきっと理解できていなかっただろう。
でも、小さな手で亡骸を触りながら「助けてあげられなくてごめんね」と言っていた。
2年経ち。
6歳の長男が車の中で「ママ、この仔猫ちゃんさ、ずっと前に助けてあげられなかった黒猫ちゃんがさ、Nたちのところにきたくて。
虹の橋渡って、また生まれ変わって、お着替えしてきたのかもしれないね。」
受診票の『名前』の欄にはまだ名前を書かなかった。
まだウチで飼うとは決めていないのに、名前をつけたらお別れが辛くなるから。
でも子供たちは仔猫を『てんてん』と呼び始めていた。
そして帰宅後、今までのペットの名前、家族の名前を思い出して書き上げていた。
…いちばんに『てんてん』と書いてあった。
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『てんてん』は生後6~8週。男の子。
血液検査はまだできず、今回はノミとり処置と下痢止めの薬を処方されただけで終わった。
男の子…
先住の猫(兄弟)オス2頭、年子の男子兄弟2人、、、五男坊か。
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