ヒトとの暮らしは悪くないさ
食べ物には困らないし、雨が降ってもずぶ濡れになることはない
暑すぎたり寒すぎたりしない…
快適なもんさ…
だけど 自由はないけどね…
僕は隅っこに隠れていたが、全速力で逃げた。
黒毛は僕よりぜんぜん動きが遅い。
つかまらないぞ!
さっき降りた段々を全力で駆け上った。
僕は壁づたいに部屋を全力で駆け回った。
黒毛が泣きそうになって追いかけてくる…
僕は窓のところに飛び乗ると黒毛は小さく悲鳴をあげた。
きっと僕がこんなにジャンプできると思っていなかったのだろう…
黒毛が僕を捕まえようとしたので、僕は窓の台から逃げて、窓よりもっと高い白い台の上にジャンプした。
足が痛くなかった頃も、こんなに高くジャンプしたことがなかったけれど、飛び乗ることに成功したが、黒毛から逃れるためにすぐにそこを飛び降りなければならなかった。
足がちぎれそうに痛かったけれど、僕は全速力で逃げて、元来た段々を駆け下りた!
疲れた…
足も痛くて…
黒毛が追いかけてくる…
僕はとうとう、外に通じているだろう扉の前で追い詰められ、小さくなってうづくまった。
もう、動けない…
かあさん…
ごめんね…
ここは僕がいたところから遠すぎて…
きっと この扉は僕の力では開けることができない…
僕はたぶんもうかあさんのところに戻れないかもしれない…
どうか…
どうか…
僕のことをもう探さないで…
僕はとうとう黒毛につかまった。
僕にはもう暴れる体力もなかった…
黒毛は僕を抱いたまま、段々を上がって、元居た檻の中に僕を戻した。
いつのまにかチリチリが来ていた。
チリチリは、前の家でそうされていたように、檻に天井をのせると動かないように固定した。
しばらく黒毛が檻の外でなにやらいろいろやっていた。
檻を少し開けて、僕のアタマや体を撫でると、何やら言ってから、あたりが真っ暗になった。
黒毛がさっきの段々を降りていく音が聞こえた。
僕は心細くなって まんまん 泣いた。
僕が泣き続けると、黒毛が引き返してきた。
檻の扉を開けると僕を膝にのせて、体を撫でた。
かあさんにするみたいに、前足で黒毛を何度も押すとなんだか落ち着いてきた。
僕は檻に入れられ、黒毛はまた行ってしまうようだった。
僕はまた まんまん 泣いた。
黒毛はまたやってきて、今度は檻の外から僕に触れた。
僕が静かにすると、黒毛はまた行ってしまった。
まんまん 泣いたけど、今度は戻って来てくれなかった。
僕は泣き疲れて眠ってしまった…
目が覚めると少し眩しかった。
前にいた場所は昼間でも暗かったけれど、この場所は朝になると さあっと明るくなった。
僕は少しうれしくなった。
ああ、あのお日様の下に行きたいなあ…
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家に来たばかりの頃はよくフミフミしてくれました
最近は…ちょっと寂しいですが…
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窓辺はコタロウが一番安心できる場所のようです
お客さんが来た時や、掃除機をかけたときは、いつもここに逃げ込みます(笑)
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