
電車を乗り継いで、上本町のギャラリーへ猫の写真展を見に行ってきた。ペット自慢みたいな猫の写真展だったら、わざわざそんなに遠くまで足を運んで見に行かないのだけれど、この上本町の写真展は、「作業所のねこ&ノラねこ展」、精神障害者の授産施設ブルー・ムーンで飼われている猫(とその近辺の野良猫)の写真展である。
今まで、大学や植物園などの施設が「野良猫に餌をやるな」といった猫への拒絶姿勢を取るのを何度も目の当たりにしてきた。だから、この授産施設が猫たちを受け入れたということがとても新鮮に感じられたし、その結果、アニマルセラピーのように、通所者の人たちにとってもおそらくよい効果が現れたのではないかと思って、ぜひ見てみたいと出かけていった。
施設のスタッフの人たちが撮ったという猫たちの写真は、どれものびのびとした自然体で、猫たちがたくさんの愛情をもらって、自由に暮らしているということが感じられるようであった。通所メンバーの人だろうか、しっかりと猫を抱きしめるうしろ姿に、その腕の隙間から覗いた、ふてぶてしそうな、それでいてまんざらでもなさそうな猫の顔。
猫が来て何か変わりましたかとスタッフの人にたずねてみたら、通所するメンバーの人々が明るくなったという答えが返ってきた。猫がいることで、場の雰囲気が和む。いたずら好きな猫たちだから、猫のために仕事が増えることもあるけれど、そこにはいつも笑いが起こる。
拾われた猫たちは幸せになれるし、通所者の人たちにとってもプラスになる。ブルー・ムーンのような人と猫との関係を築く施設がこれからもっと増えることを願っている。この写真展は、その希望のように思った。
(ブルー・ムーンは、NPO法人みのりコミュニオンが運営する、精神障害者小規模通所授産施設。そのシンボルマークも、「月に跳躍する猫」です)
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