
昔勤めていた職場の近くに、猫のいる喫茶店があった。レジカウンターの台の上の、浅いかごの中に二匹のアメリカンショートヘアーが団子のようになって眠っていて、時折、しなやかに床の上に降り立って背中を丸めて伸びをし、猫好きな客に頭をなでられたりしていたが、ランチがたいして美味しくなかったのと、猫もマスターも愛想が悪かったから、私は一度行ったきりで、行くのをやめてしまった。
そこは普通の喫茶店にただ猫がいるというものだったが、最近は「猫カフェ」というお金を払って猫と遊ぶスペースが流行っているらしい。
猫ブームで「にわか猫好き」になった人たちが、猫カフェで猫と遊んで本当の猫好きになってくれたら大いに結構であるが、いったい猫カフェにはどんな猫がいるのだろうと思って何軒かホームページを覗いてみたら、予想していなくはなかったけれど、やはり血統書のついていそうな猫ばっかりでがっかりした。動物愛護センターやアニマルシェルターから引き取った猫を置いてくれていたら、それで何匹かの命が救われたのに、と思う。
経営者の立場からすれば、アメリカンカールとかブリティッシュなんとかとか、そういう珍しいような、高い猫でないと客が集まらないということなのかもしれないが、「針金犬」とか「崖っぷち犬」とかに全国から里親希望者が来るくらいだから、「シェルターから来た不幸な猫にあなたの愛情を」というような文句で宣伝したら、それなりにお客は来るのじゃないかしら思うのだけど、どうだろう。少なくとも、猫の魅力という点で、シェルターの猫が血統書猫に劣ることはないと、私は断言できるのだが。
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