
どこかから、太鼓や笛の音が聞こえていると思ったら、それがどんどん近くなって、とうとう家のすぐ表から聞こえ出した。窓から外を見ると、どこかの神社の小さなお祭らしい。維新志士の装いをした子供たちが、それぞれ手に笛や太鼓や、維新隊の鉄砲を携えて、足並みそろえるように、家の前をゆっくりと歩いていく。こんな小さな路地まで通るのかと思って見ていると、今度は、菖蒲の花を手に持った小さなお稚児さんたちが、お母さんに付き添われながら通っていった。
みゆちゃんが横にやって来て、窓の下のゴミ箱の蓋によじ登り、窓の桟に手をかけて、同じようにお祭の行列を見物し始めた。
猫にとっても物珍しいものであるようである。飾りのついた小さな山車に続いて、狭い路地には不似合いなほど背の高い馬が来たので、みゆちゃん、おんまさんだよと言ったのだが、そのとたん、みゆちゃんはゴミ箱から飛び降りて、あっちを向いて前足なんかをぺろぺろやっている。どうやら、おんまさんが怖かったらしい。

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