近所のコンビニの駐車場にポツンとその子はいました。
自動ドアの近くで、通りがかる人ひとりひとりに「ご飯を下さい」とねだっては、
必死に甘えすり寄っていくのです。
毛並みは薄汚れ、目には涙と目やにがびっしり。お世辞にもキレイとは言えない見た目…。
しかしあまりに人馴れした様子から、コンビニで飼われているのかと思い
店員さんに尋ねると、「野良猫なんですよね…」との答え。
買い物が終わり車に戻っても、通りがかる人々にご飯をねだり続ける姿が痛々しくて
どうしても目を離す事ができず、悩んだ末、家に連れ帰る事に。
抱き上げても車に乗せても特に嫌がる事もなく、元飼い猫だったのは明らかでした。
とにかく名前を、と。毛並みが少し桃色がかっている所から「もも」と命名。

↑家に連れ帰ってきた頃のももちゃん。
ずっと寒い屋外にいただろうから、家でストーブを見つけ喜んでその前に収まる。
他のニャンズのベッドで堂々とくつろぐ姿はなんとも慣れたもの。
それを見ていて余計に胸が締め付けられる。ももは捨てられた子なんだなと。

↑ストーブに嬉しそうにあたるももちゃん。
心配していた先住4ニャンとの対面もすぐにクリアし、同じ部屋で過ごせるように。
(ビビりな長女にゃうはいつまでもシャーシャー言っていたが…)
ももは他の子を全く気にする様子もなく、まるで自分の家のように寛いでくれていた。
それがとても嬉しかった。
そしてどの子よりも甘えたさんで、名前を呼ぶと飛んで来て膝に乗せてと甘えてくる。
抱き上げると喜んでゴロゴロと大きく喉を鳴らし、私の顔をペロペロと舐めてくれた。
まるでワンコみたいで。日増しに愛情が湧き、可愛くて仕方がなかった。

↑長女にゃうの横でマイペースにくつろぐももちゃん。
家に来て間も無く発情期が来て、ももが避妊手術を受けていない事が分かる。
初め病院で診察を受けた時、推定3歳以上、人に飼われていたのだろう
との事だったので複雑な気持ちだった。
そして右目には過去に患ったであろう眼病の為に角膜に癒着があるとの説明も受けた。
…どおりで左右の目が違うなと思っていた。
目薬しても一日中涙が止まらないのはそのせいだったのね…。
一体、過去にどんな飼い方をされてきたのだろうと思わずにはいられなかった。
ももの今までをあれこれと想像してしまう。

↑避妊手術後でぐったりした様子のもも。
先住とも仲良くできそうだし、ももと一緒にこのまま楽しく過ごせると思っていた。
主人とも安心していた。そんな時突然、ももが豹変したのだった。
今まで穏やかで優しかったももが、突然他の4匹を襲い始めたのだ。
何の前触れも無く、突然スイッチが入ったように本気で襲いかかる…
見た事もない光景に動揺してしまう。一体どうしたというの…??
他の子が怯え、一緒にはできないので部屋を分ける事に。
しかし部屋を分けた生活は何かと不便も多く、先住ニャンにとっても
ももにとっても良くなかった。隔離生活をずっと続ける訳にもいかない…。
ねこじに里親募集を載せようか、近所に貼り紙をしようかと悩んでいた。
が、年齢と見た目の事を考えると、里親が見つかるのは厳しいように思えた。
こんなに、こんなに可愛い子なのに。一緒に暮らせないなんて。
そんなこんなで、ももを保護して3カ月が経とうというある日、夫からの電話。
「何とか里親さんになってくれる人見つかったよ!」
ももがお嫁に行く先が見つかったのだ。
悩んでいる自分を見て、ずっと聞いて回ってくれてたらしい…。
そして4月28日、ももお嫁入りの日。
嫁入り道具(ニャンコ用品一式)と共に、ももをお届けに。
新しいお家でもうんと可愛がってもらってね。それだけが私たちの願いです。
3ヶ月の間、一緒に過ごした日々は生涯忘れない大切な思い出です。
毎日ゴロゴロと膝に乗ってきて甘えてくれた事。
お布団でももを腕に抱いて一緒に眠った事。
抱っこするとペロペロと顔を舐めてくれた事。
ももちゃん、素敵な思い出をありがとう。
新しいお家でも、どうかずっと幸せに。

↑ももが豹変する前の、奇跡の3ショット。
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