あの子と私の、あれやこれ。

2019年5月15日(水)

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久しぶりにネコジルシへ出入りが多くなってみなさまの日記を拝見している内に
「そういえば、あの子と私の関係ってどんなだった？」なんて思い出してみました。

もともとズレているところがある私ですから
自分でもだいぶ不思議生活だったかと思います。

私の記憶にある最初の猫さんといえば、
幼少期に見た故郷の塀の上の白猫さんを思い出します。
すごく綺麗だったか？と言われるとお外の子なので、多少すすけていたかも知れません。
でも、その猫さんを見て私は白い色が好きになりました。

シュッとして力強くて、いつもじっとこちらを見てから余裕をかまして
ブロック塀の上を歩き去っていく姿に惚れて好かれたくてせっせと煮干しを持って行きました。
でも全敗です。時々降りて来てくれましたが全く相手にされませんでした。

ある時は、
悔しくて他人の家の塀なのによじ登って白猫さんを追いかけました。
そこの家人とはおなじみさんで、塀を登ったくらいでは怒られませんでしたが
大層迷惑だったでしょう。

私の記憶の限り、白猫さんが私に媚びた事もなければ、触れた事も触れられた事もありません。
私の中にある「猫さん」はそういう生き物でしたので、うちの子を保護した時
「神様拾っちゃった！どう扱ったらいいのか？！」という感じで軽いパニックだったのも
今ならなんとなく理解できます。

生き物というレベルでは、色々な種類を経験させて頂きましたが
ある程度の大きさとなるとワンコだけしか経験値がないばっかりに
どういうコミュニケーションを取るのかがさっぱりわかりませんでした。
まずは生体を学ぶべく、本を買いあさり、ねこの気持ちを購読し、そうしている内に沸いた
「うちの子は、どうしてほしいものなのか？」という疑問。
「こら！」って言って、果たしてどう通じているの？？？という疑問。

それを解決するために、私たちはたくさん喧嘩をしました。そして文句を言い合いました。
嫌な事は彼女もする様に「嫌だ」とちゃんと意思表示をし、
可能な限り自分たちのペースを守って過ごす様に心がける。
なんとなく機嫌が悪くて怒っているんだぞってアピールを、私もそのまま真似る。
噛まれて痛い時は尻尾を踏まれて叫んだ声の音を真似て「痛い！」とか。
機嫌のいい「うにゃーん」の音を真似て「嬉しいー」とか。

…はい、文字に起こすと相当なズレ具合ですね（笑

遊びは本や動画の真似をして追いかけっこをしました。
ケリケリが欲しそうな時は、そっと足をいい具合の位置にスタンバっておきました。
加減はしているでしょうが、やや本気だと噛みも蹴りも強烈なのでデニムはボロボロ。
でも馴染んだ物が好きだと思ったので、デニムは買い替えしてません。

力加減を教えられていない事、そしてできない事は本来
「イエネコ」として不合格なのを私は承知しております。

そういう事ではなくて、
家という「箱の中」で共に暮らす時、人同士は家族とどう過ごすのか？
家族として最低限の人と猫さんとの生体別ルールを守りながら
全力で「猫らしく」生きて欲しかった、というのが本音です。
ですから、彼女の故郷を出る時にせめて私が選んだのは、狭いけど天井が高い部屋。
ジャンプをしてオモチャを狩るのが得意だった彼女にそこで
目一杯ジャンプする狩り遊びをして欲しかった。

…のですが、実際はお互いに「人に近くある存在」、「猫に近くある存在」という
どうもあやふやな関係だったに違いありません。
世の中の「家族」というものに見合っているかは判断つきませんが
それでも、私たちはちゃんと繋がった家族になれたと思います。

私は猫さんと遊ぶ時、自分も宙に浮く様な感覚（飛びませんよ笑）で遊びます。
鳥の動きを真似ておもちゃを動かす技を習得したので
その後の保護猫カフェではちびっ子達に大人気でした。
大小3〜5匹くらいを一度に相手にしていたのですが、小さいのは大抵本気でかかってきたので
終わる頃には汗だくで、いつもいつも小さな爪痕が足や腕にいくつも点々としていていました。
それを見て私は「元気印だな」と嬉しかったです。
大人猫さんの横座りを真似た時、大小関係なくお腹のあたりに寄りかかってきた時の感動ったら。
何だか仲間みたいな気分でした。

鼻キスを求められたら、今でも自然と瞼を閉じて鼻を差し出します。
目で訴えられるか雰囲気を出されるか、或いは「撫でて」と頭をゴチンされるまで、
私は基本的に猫さんには触れません。
自分から手を出さないのは、対する相手がどんな種類の生き物なのか
彼ら同士が行う事を自分も体験するのが好きなのと同時に、
あの日の白猫さんが今も私の中で「猫さんの基本スタイル」ではないかと思うから。

猫に生まれた事を、全力で楽しんでほしくて考えた私たちの距離。
正しかったのかはわかりませんが、きっと次があれば次の子が
「私はこうよ！覚えなさい。」って教えてくれると思います。
今でもまだ、ボロボロのデニムは捨てていません。
とっくに彼女の香りは消えてしまったけれど、思う存分に噛んで蹴った
そのボロボロの勲章を、受け継ぎたいと思うのです。

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