
昼食を準備して、息子を子供椅子に座らせ、自分も着席しようしたら、私の椅子の上にみゆちゃんが平たくなって寝ていた。
パソコンデスクの椅子に続いて、食卓の椅子にまで侵攻してきたかと思いながら、椅子の二分の一ほどをみゆちゃんに占領されているので、みゆちゃんの邪魔をしないように残りの二分の一に控えめに腰をかけた。
もっとも、こういうことは実家ではよくあることで、ことに冬、台所にある食卓の椅子は起毛の座布団が敷かれていて、しかもファンヒーターの温風がよくあたる高さにあるから、食事の時間に、テーブルの下に仕舞われていた椅子を引き出そうとすると、期待している椅子の重さよりもやたらと重くて、引き出した椅子といっしょにテーブルの下から迷惑そうな顔でこっちを見上げる丸くなった猫が現れる。多いときには、四つある椅子のすべてに猫が乗っている。人が座ると嫌がって降りていく猫もいるけど、デビンちゃんなんかは全然動かなくて、なんだか父の姿勢がおかしいなと思ったら、父とデビンちゃんが半分半分で座っていたりする。
みゆちゃんに遠慮しながら座り、体をよじって昼食を食べ始めたが、さすがに食べにくい。そう思っていたら、みゆちゃんのほうでも居心地が悪くなったらしく、私の椅子を降りて、食事のときの定位置である、食卓の隅っこの新聞の上に移動した。
近ごろ、食事時にみゆちゃんはときどきこの場所で寝る。暑いから、新聞の上はひんやりして気持ちがいいのだろうが、それ以上に、仲間はずれが嫌なのだろう。その証拠に、向こうを向いて目をつぶっていても、耳はちゃんとこっちの様子をうかがっている。食事が終わって人が居間に移動すると、何気なく起き上がって、やっぱりみゆちゃんも居間へやって来る。普段、愛想のないようなふりをしているけれど、本当は甘えん坊なところが、また可愛いところである。
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