おむすび 昔ばなし

※昨日の日記に追記した、氾濫した河川敷で暮らしていた猫さんたちのうちの１匹。
木に登って濁流をしのぎ、
無事生還したことがわかったそうです。
…よかった。生きていてくれて。
どうか他のみんにゃも無事に戻ってきますように🙏

～台風の被害を案じ、遠くの友人から連絡をもらいました。
彼女とは短大時代からの付き合いで。
その彼女のお母様の訃報を聞き、
彼女と自分達の亡くなった親のことを話しているうちに
昔のことを思い出しました。

私が１番初めに保護し、里親探しをしたのは
彼女が当時暮らしていたアパートの猫が産んだ仔猫でした。
里親になってくれたのは、私たちのゼミの教授だったのです…～

ずっと昔の話です。
すみません、とても長文です。
おもしろくないかも…です⤵️💦(予告)

私は犬が大好きで、
猫はフニャフニャしていてどうやって触ったらいいのかわからない、
そんな人間でした。

私はひとりっ子で
ビーグル犬のベッキーは妹のような存在でした。
親に言えないようなこと、言いたくないこともベッキーは黙って聞いてくれたし。
彼女の垂れた耳も、ブルンブルンする唇も大好きでした。

世で言う反抗期に、金髪だった私(笑)
…何もかも気に食わなかった。
なんで学校に行かなきゃならないのか。
なんでみんなと同じことしなきゃならないのか。
今となってはどうでもいいようなことにイライラしていました。

それでもベッキーは大事だったから。
毎日ではなくても、お散歩には連れていって。
彼女と会話をしていました。

彼女は食い意地ははってはいたけど、
リードをグイグイ引っ張るようなコではなかったのに。
夏休みのある朝、ごみ集積所へ私をグイグイ引っ張って連れていきました。

そのごみ集積所には
『だいすけ』『はなこ』とかかれた小さな箱に、しらす干しが少し入れられ。
燃えるごみと一緒に置かれていました。
…死んだらそのまま燃えるごみに、とばかりに。

『だいすけ』『はなこ』はあまりに小さくて
にゃあと言ったので猫なのかとわかったけれど。
色からしてスズメみたいなうごめくもの、でした。

すぐに迷わずに持ち帰り。
母にお願いしました。
「ママ、あそこでゴミになっちゃうのは嫌だ。せめて死んじゃうならウチで死なせてあげて欲しい」

中学校もテキトーにしか行かず。(部活だけはなぜか放課後行っていた)
夜遊び、茶髪で道を外れようとしていた私だったのですが。
母はそれを聞いて安心したそうです。

やはり『はなこ』は家についてすぐに動かなくなってしまいました。

母は急いで台所からお弁当に入れる魚の形をしたしょう油さしに温めた牛乳を入れ、(当時猫用ミルクの存在を知らなかった)
『だいすけ』に飲ませました。
「飲んだ！」

それから『だいすけ』のお世話が始まり。
牛乳を温めてはスポイトで２～３時間おきに飲ませる。
…夜遊び、ピタッとやめました(笑)

排泄は、ベッキーが手伝ってくれました。
『だいすけ』はトム・ソーヤーの『トム』に
名前が変わりました。

私が反抗期に反抗していた理由に、
母が祖母(姑)の言いなりになることへの不満がありました。
私じゃなくて、生まれてすぐに死んだ姉が生きていたら、思い通りになって良かったんじゃないの？という思いが強くて。
とにかく、全てを否定しまくりたかったのです。

でも。
母が仔猫に対して接する姿を見て。
…すげぇ、このババァ(←当時の言い方)と。
小さな命に向き合う姿と
命を大切にして生かしてくれたことに対して
感謝と尊敬の念を抱き。
以来、母親を一人の人間としても大切な大好きな人になったのです。
私はこうやって、母に育ててもらったのだと。

トムは里親を探したけれど見つからず。
(今思うと、猫大好きな母は真剣に里親を探していたのかなぁ？と疑問)
すくすくと成長し。
猫嫌いな父の膝の上に、
何度下ろされても抱っこされに行き。
根負けをした父…
正式にウチのコになりました。

定期試験や受験勉強の時は私の机の上。
寝るときはずっと腕枕。
修学旅行のときは階段のところで私の帰りを待っていたそうです。

妹分のベッキーは、
姉貴の私が在宅時間が減っていくに従って、
長女のポジションについたと思い込んでいたらしく。
高校卒業後、一家三人がそれぞれ別の場所で暮らし始めると
母と長女ベッキー長男トム、次男に私が高校のときに母が拾ってきたハック…
私は週末やって来ることもある居候の姉ちゃんみたいな位置関係に。
…トムはそれでも私が帰ってくると一緒に寝てくれました。

都内で社会人１年目の冬。
母から電話。
「これから帰れる？…ベッキーがね、死んじゃったの。今朝まで元気に散歩したのに。」
あんなに仲良くしてくれて、大好きだった、妹のベッキーの死に目に会えなかった。

私は犬の十戒を守れなかった。

だから。
二度と犬は飼わないと心に決めた。

数年後、母が癌で亡くなりました。
母と暮らしていたトムとハックは私のところに連れてきました。
その数ヵ月後、トムの後ろ足にしこりができました。
悪性腫瘍。
断脚するかどうか、と言われました。
そのときもうトムは15歳を過ぎていたから、
断脚は選びませんでした。

母の闘病中、本田美奈子さんが白血病で亡くなりました。
母は終末期ホスピスにいたこともあり、
知り合った人たち大好きだった人も次々に会えなくなっていきました。
この前まで笑っていたのに…？
元気になったらどこに行くって話をしてたじゃない…？

頭の中で、ずーっと本田美奈子さんの声で
amazing graceが流れていました。

トム…お前もガンなのか。
私を置いていかないで。
ひとりにしないで。

トムのしこりは日に日に大きくなり。
しこりは潰れ、膿んで。
布団に血のシミがいっぱいついたけど。
それでも一緒に寝てくれました。
ずっと変わらず、同じように腕枕で。

よぼよぼになっても。
私が仕事から帰ってくると、立ち上がって迎えてくれました。

その日も。

私が帰ってくるのを待って。

私が抱き上げると静かに私を見上げながら…

…旅立ちました。

私は母に、死なないで、逝かないで、置いていかないでと言えなかったし、泣けなかった。
トムには、その言葉を何度も何度も繰り返し、聞いてもらった。

トムが居なくなっちゃうなんて。
やだやだ、絶対に嫌だ。
トムが一緒に居てくれなきゃダメなんだ。

何を思ったのか、
私は剥製屋へ行きました。
どうやって探したのか、
どうやって行ったのか、
全くわかりません。
とにかく…トムの姿が火葬で全て無くなってしまうのが恐怖だったから。
剥製屋さんはふたつ返事で、値段と納期を告げ。
最後にこう言いました。
「で、中身はどうします？処分でいいですかね」

「え？」

一気に目が覚めました。
私は何をしようとしているんだ。
トムの毛皮だけ、外見だけあっても。
もうトムは…いないんだと。

その日ちょうど雪が降っていて。
冷たく固くなったトムに、
雪がかからないように、
寒くないようにと
コートの中にくるんで抱きしめながら
雪道をとぼとぼ歩いたのを覚えています。

実は私には母が亡くなる前後の記憶が曖昧で…あまりはっきりしない時期があります。
精神安定剤や睡眠薬、抗うつ剤みたいなのを
毎日ラムネみたいに飲んで。
なんとか生き延びていたような時期があるのです。

そんなときの愛猫の死は。
あまりにも重すぎて。
たぶんおかしくなっていたんだと思います。

その後。
ハックと一緒にペットショップに
寂しくてなんとなーく猫に会いに行き、
偶然声をかけてくださった方が
今のムッシュとチャオの里親さん。
「あのぅ…血統書じゃないとダメですか…？」
飼い猫のロシアンブルーの仔猫を産ませたかったのに、
もう一匹の飼い猫の茶白くんとの間にうっかりできちゃって。
生まれちゃった４匹の仔猫(笑)
「今日はそんなつもりでお店に来た訳じゃないんですが。
アナタが猫と一緒に仔猫を見つめる姿を見て、アナタならウチの仔猫を大切にしてくださるような気がして…」

元気いっぱいでヤンチャだったムッシュとチャオに癒され。
少しずつ私も元気を取り戻して。

離婚もしたけど。
ハックとムッシュとチャオの為に働き、
引っ越しもして。

またまた紆余曲折あって(笑)

おむすび母ちゃんになりました。

たかが猫、じゃないの。
猫も家族なの。
あの夏猫と出会わなければ…

おむすび母ちゃんは、今のおむすび母ちゃんではなかったのだと思うのです。

…ペットロス。
本当に辛くて悲しいこと。

乗り越える、なんて簡単にはできないけど。

ペットロスも含めて、それもひとつの経験として。
一緒に抱えて生きていく。

そう思えるには時間も必要でした。
でも、心にはあのコがずっとずっと居てくれると信じてる。

今でも。
ベッキーも、
トムも、
ハックも。
その他、短い間でも出会い別れたあのコたちも。
私のこれまで人生の一部分。
彼女彼らが居てくれたから、今の私がある。

そう思うのです。

ある意味、人間よりも彼ら動物の方が心に残っているかも。
だって見栄をはらない、嘘をつかない、裏切らないんだもの。
忘れたいと思わせることなんて、何一つない…

以前も日記に書いたことありますが。
私が守れなかった犬の十戒です。

1. 私と気長につきあってください。
2. 私を信じてください。それだけで私は幸せです。
3. 私にも心があることを忘れないでください。
4. 言うことをきかないときは理由があります。
5. 私にたくさん話しかけてください。
人のことばは話せないけど、わかっています。
6. 私をたたかないで。本気になったら
私のほうが強いことを忘れないで。
7. 私が年を取っても、仲良くしてください。
8. 私は十年くらいしか生きられません。
だからできるだけ私と一緒にいてください。
9. あなたには学校もあるし友だちもいます。
でも私にはあなたしかいません。
10. 私が死ぬとき、お願いです、
そばにいてください。
どうか覚えていてください、私がずっと
あなたを愛していたことを。