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私が家の周りにいる野良猫さんが気になるようになりだしたのは、「黒猫クロ」を保護した日からです。とても人懐っこい子で突然私の前に姿を現しました。「あなた何処の子~?」が初めての会話でした。いつもお庭に遊びに来るようになって、でも私の家には大切な家族、十姉妹がいたのであの子をお家に迎えることはできなかったのです。
ただ一つ違ったのは、元気だと思っていたクロは大変な病気を抱えていたのです。いつの間にか庭にいつくようになって、気がついた時には、後ろ足がふらつくようになっていました。2011年8月29日、病院へ。
病院では誰かに蹴られたかで足に麻痺があると。この子はもう一人では生きていけませんと言われました。この日から私の家族として加わりました。でも薬が効いたのか、何事もなく動き回れるようになり、十姉妹がいるので危険にさらしてしまうのではないかと戸惑いました。
ところが、薬が切れるとまた足の麻痺が。翌年1月にはひどい便秘になり、ただ事ではないと。病院がたまたま休診日だったので、別の病院へ受診し初めてクロの麻痺の原因と便秘の原因が判明しました。便秘で溜まって硬くなっていると思われたお腹は、人のこぶし大の腫瘍でした。レントゲンでは写らない最悪の状態でした。CT検査の結果、安楽死を宣告されました。ただ私にはこの状況を素直に受け入れることはできませんでした。あの子はまだ突然に起こった自分の体の異変を納得はしていないはず。もう少しだけ、私のそばに生きててほしい。治療の選択肢はないものか先生に相談して抗がん剤の治療をおこないました。しかし、かえって苦しめてしまうことになってしまいました。あの子はトイレをしたくても、便が出せないのです。便の通り道が腫瘍でふさがっていました。24時間いつもトイレがしたいと頭から離れることはないのです。麻痺した足を引きずりながらトイレに座るクロの姿は見るに耐えられない日常でした。私は、もう少し生きていてほしいという自分よがりの考えを捨てることにしました。あの子をこれ以上苦しませたくない!2012年3月19日、クロは春を待たずに静かに眠りにつきました。桜の花が咲き始めたのはその一週間後。出逢いから別れまで駆け足で行ってしまいました。助けたと思った命はそうではありませんでした。
クロは猫白血病ウイルスに感染していました。この世に生を受けて、おそらく一年と少ししか生きられなかった命です。安楽死は賛否両論。答えは出ませんが、最期の瞬間まで生きるということはどういうことなのか命と向き合った大切な時間でした。
何も知識のなかった私に、野良猫さんが過酷な中で生きていることを教えてくれたのはクロです。そして、自分が生きた証を私に託したかったのかなとか、最期は人に愛されるという喜びを味わいたかったのかなとか、そんないろんな想いが駆け巡ります。そしてクロとの強烈な出逢いと別れがあったからこそ、今の先住猫コスモスや神無月(カンナ)との出逢いに繋がっています。クロは確かにこの世に生を受けて、短い命ではあったけれどもちゃんと野良猫さんの現状を伝えるという役目を果たすため、私を選んでくれたのかもしれません。だからこそ、こんな私でも目の前に救える命があるのなら、出来ることをしてあげたいと思っています。言葉では伝えることができない小さな命たちです。だからこそ、健気に生きているあの子らが愛しいのです。
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