今年最後の月が間もなくやってくる今時期
二十四節気では小雪。
この時期に暖かい日を「小春日和」と言いますね。
来月は大雪へと移動して本格的な冬を迎えます。
今年に入って何かと賑やかにしており
同時に考えさせられる忍耐力必須イベントも多く
神様がやや乱暴に落としてくるそれらをこなしながら
未来の自分の武具を仕立てつつ過ごしてきました。
幸いにして目標以上の成果を勝ち取ったものの
とんでもない速さで一ヶ月が過ぎていき
ハッと気が付けばこんな季節。
少々息切れ気味とは思っておりましたが
今年もまさかの年末間近。
寒さも肌で感じ始める今時期の小春日和
窓際に立つと温かなもふもふのお日様の香りを
鼻のずっとずっと奥の方で思い出します。
二年経過した今でも
この右肩にそのふわふわとした感触を
そしてたくさん話しかけてくれたどの音の声も
ちゃんと覚えています。
耳をすませば、ごにゃごにゃいう
よくわからないけれど嬉しそうなあの子の声が
体の洞窟の奥から聴こえてきます。
家にいるのは水の生き物や植物たちなので
今はまだお日様の香りは嗅げないのですが
ただ、少し今年を立ち返ってみて思うのは
生き物が丁寧に生きている家というのは
もしかしなくても温かい、という事。
現在、そういう色々に関わる瞬間があり
色々な方面で「家」についての記事を
拝読する事ができました。
ある引越し業者さんが言うには
何らかのトラブルがあって引越しをする事になった家は
とても空気が冷え切って呼吸を止めた様に
静まり返っているのだそうです。
そんな寂しい姿を想像すると、とても心が痛みます。
「家」というものはきっと
いえ、これは単に私の感覚でしかありませんが
とても丁寧に毎日を過ごしていれば
ある日突然に呼吸をしてくれる気がするのです。
呼吸をするという事は生きているという事で
生きているから温かい。というのが私なりの言い分。
人間、動物、植物、生物関係なしに
たくさんの生き物が笑ったり泣いたり
喧嘩したり仲直りしたりしながら
それでも共に過ごす家というものは
だからこそ、長居したくなるほど温かい。
あの子がお空に昇るほんの少し前
そしてほんの少し後の事。
開花させるのは難しいと言われていた観葉植物が
その年の夏の終わりに元気に花を咲かせました。
花が咲くためには幾つかの重要な要素が必要ですが
まず、健康である事が大前提です。
花が咲いた事でこの冬は無事に越えられそうだと思っていたのに
あの子の旅立った後の冬を植物は越えられませんでした。
元気に茂っていた葉があっという間に落ちて
そして年を迎える事なく枯れていきました。
生き物の居ない一年間を共に生きてくれたのは
引越した時にお迎えした観葉植物一本のみ。
家の空気が合わなかったのか
よく葉の色がくすみ一度ダメになりかけて
それでも残ってくれた節の部分を大事に育てておりました。
細く痩せてひょろりと背ばかりが伸びていたその子は
うちの子が嬉しくて興奮している時によく葉を噛まれており
今もその痛々しくも懐かしい跡を見る事ができます。
ある意味、思い出を一緒に背負ってくれたあの子の寡黙な弟/妹であり
同じシーンを違う角度で見続けた私の頼もしい家族です。
# 噛んで影響が出る植物かどうかは検索した上でお迎え済み。
不思議な流れでやってきた水の生き物たちも
この一年色々ありつつ世代を交代して過酷な環境に耐え切って
今年を元気に越えようとしてくれています。
そんな姿にようやく安定期を感じてほっと一息ついたある日
何気なしに家の中で静かに座っていると
何か以前と違う感じを受けました。
そういえば
今年、特別な手入れをした訳でもないのに
観葉植物がどんどん新芽をだして細いながらもモッサリ育ちました。
秋の途中にお迎えした御供えの枝物は
どうした事か、最初の葉を全て散らしてその後も
小さな可愛いお花をたくさん咲かせ今まだ新芽が伸びています。
生き物たちが過ごす容器の水は、心なしかキラキラして見えました。
生き物がいる、動くものが自分の他にいる、というだけで
家の中の空気が軽く温かく、そして優しく感じます。
生きているんだ、と実感します。
風が吹き、お日様が入り、緑がとても綺麗に育った一年。
上向きで艶のある葉を見ると「あぁ、元気なんだな」と
それだけで心が和みます。
今を懸命に生きる小さな家族たちと
ようやく呼吸を整えた家が今日も私に活力をくれる。
それだけ恵まれた環境にありながらも私はまだ
あの子の写真集を開く事ができる状態には全くありません。
ですが常に時間が流れている以上
立ち止まる事も過去を振り返る事も選択肢に入れません。
火葬の日の朝
いつも通り布団の横のタワーから聴こえてきた
でもいつもより元気で幸せそうな何かから解放された様な
私を起こす「にゃーん」という声と
朝日を背に目一杯浴びて笑顔に見えたあの子の姿が
瞼の裏に、耳の奥に生きているので
まだ当分は負ける訳にはいかないな、と日々思います。
「猫は家につく」
あの子はこの家で共に呼吸をしているのだと思います。
だからこそ、こんなに安心できて温かいと感じるのだと
無理なく心に響きます。
「形がある事」に囚われるときっと私はダメだと思うので
そんな風に偶然も奇跡に変えながら、時々ツッコミも受けて
頂いた郵便屋さんという職業のスキルアップを共に図りつつ
また来年も歩いていきたいと思います。
今年、たくさんの出会いがあり、実りがありました。
耕していた人生の畑には、ようやく少しの新芽が出て
そしてたくさんの小さな美しい花が咲き
またタンポポの綿毛の様に風にのって旅立っていきました。
関わってくださった皆様に、たくさんの感謝を。
旅立っていった方々に心から声援を。
そして皆様のご家族にたくさんの幸が溢れます様に。
今年も残りわずかとなりましたが
元気に駆け抜けて、そして新年をお迎えくださいませ。
ありがとうございました。
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