朝からマモーの様子はおかしかった。
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前々から大奥では、マモーの輿入れのため
・きちんとバッグに入れること
・ソファの下に逃げ込ませないこと
・マモーに気づかれないようにすること
を、徹底しようとしていた。
そのため、輿入れの日の話なども
マモーのいない別室や、
声に出さないメールで行っていた。
私たちの声色や雰囲気で、
マモーが「いつもと違う」と
不安にならないように。
なのに
マモーは朝から、
・殿と遊んだ和室
・おミキの方と寝るソファ
・猫トイレ
の三ヶ所をぐるぐると周り、
ホリホリしては一滴、二滴
オチッコをして回った。
落ち着いて座ることなく、ずっと。
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大奥での最終日に、
マーキング?粗相?
それとも膀胱炎?
片付けても片付けても
掘られて飛び散り続ける猫砂。
次はどこにオチッコするの?
これは連れて行くなという抵抗?
それとも大奥への嫌がらせ?
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見たこともないマモーの異様な行動に、
全く目が離せず私はオロオロ。
寂しい愛しい気持ちに浸ることなど
全くできず、それはもう
「なんやねん、もーーーー‼️お願い、
マモー、おとなしくして、いい子にして‼️
今日、やっと輿入れなのに‼️」と
頭を抱えてしまうような有様だった。
もちろん、愛しかった。悲しかった。
この手からマモーがいなくなるなんて、
今後私、大丈夫なんやろかと思ったし
不眠症乙参家でもこんなことされたら、
きっと受け入れて貰えない‼️
最後の朝は、マモーと殿と
いつものソファにのんびり座って
今までの思い出を、マモーを撫でながら語り
しんみり「その時」を待とうとしていたのに。
もし膀胱炎なんかだったら、
このまま不眠症乙参家には渡せない。
マーキング?でもオチッコは臭くない。
粗相?でもウンピはしっかりトイレの中。
マモーの意味不明な行動に、
大奥は、パニックだった。
それでも何とかバッグにマモーを入れ、
不眠症乙参たちの宮殿へ。
マモーの輿入れは、決行された。
マモーは初めて、バッグの中で暴れた。
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しばらくして、マモーも諦めたのか
バッグの中、車の中。
石のように固まっているようだった。
それでもマモーは、
殿の声を聞いて、一度だけ
「にゃーーーーーーー」と
悲しげに長鳴きをした。
🐈🐈🐈🐈🐈🐈🐈🐈🐈🐈🐈🐈🐈🐈
猫には複雑な感情はないと言われる。
単純な喜怒哀楽こそあれ、
理論的な思考はないと言われる。
だから、飼い主たちが
「うちの猫はこう思ってる」というのは
大抵飼い主好みにアレンジされたものだと。
マモーの悲しげなあの鳴き声は
私たちの「罪悪感」や、「後ろめたさ」
のフィルターを通し
まるで「裏切り者」と言っているかのように
私たちに突き刺さるのだった。
普段なら、そんなに長く感じない
不眠症乙参の住む◯◯市。
ものすごーーーく長い距離に感じた。
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🐱🐱おまけ🐱🐱
さて。後日、殿がふと言いました。
「あの日、マモーがあのようにおかしな行動をしなかったら、そなたは車の中でも不眠症乙参家でも、泣かずにおれなかったであろうな
今思えば マモーがあのように
悪さをしたのは
そなたに涙の別れを言わせぬように、
わざとにそなたを困らせるかのように
まるでマモーが図ったかのようであったな」
・・・はっ、・・・そうだ。
大奥とマモーとのお別れが
ウエットな別れにならないよう
「はい、よろしく!」と渡せるよう
お互いが振り返らずに、歩めるよう
マモーは・・・
わたくしのことを誰よりも
愛し、わかっていたのやも知れませぬ。
続くのだ‼️
次回、大奥日記はついにクライマックスへ。
「不眠症乙参の眠らない宮殿・息子との再会」
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