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9年前のあの日、私は仕事から戻って直ぐにクロをトートバッグに入れタクシーに乗り込みました。必死にバッグから出ようとするクロを夢中で押さえ込みながら動物病院に向かったのを覚えています。
とても人懐っこくて庭先に遊びに来る黒猫を私はどうしても気になって、でも家には十姉妹がいたので飼うことはできないと諦めていて…。当時は猫に関して避妊などという知識もなく、ただあの時飼うことはできないからご飯は与えてはいけないと思っていて、遊びに来てくれるので一緒に戯れるみたいなそんな関係でした。クロはクロでご飯をおねだりをする訳でもなく、誰かにご飯を貰っていたのでしょうね。
“遊んで”と遊びに来る感じで、いつも私を待っていました。私はこの子がまだ子猫なのか成猫なのかもよく分からずに、遊んでいたのを覚えています。
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お外にいた頃のクロ
そんなクロがいつの間に庭先に居着くようになり、ある時、ふと、クロがこの場所から全く動いていないことに気づきました。夏だし喉がかわいていないだろうかと、心配になりお水を与えました。数日後、何も食べてないように見えたので少し栄養のあるものをと牛乳を飲ませてしまいました。案の定、下痢でした。お尻が汚れてしまい💦。
汚れたままの状態で座っているクロを見て、ただならぬ異変に気づくことになります。
後ろ足がふらつき上手く立てない…。
毛繕いして綺麗にしたくても麻痺があり自分の体を舐めることができなかったのです。
その日の夕方、仕事から戻った私は病院へ駆け込みました。そして先生から、“この子はもう一人では生きていくことはできません” そう言われました。
“早く気づいてやれなくて、ごめん。”
8月29日、クロは私の家族となりました。家族記念日。
家に入れられて不安がるクロをなだめながら、勿論ゲージがあるはずもなく、だだ歩けないのでパニックで飛び回ることもなかったので、ソファーに置いて様子を見ました。
ところが、先生からは歩くことは難しいと言われていましたが、その晩から少しずつ薬が効いてきたのか歩きだしそうなそぶりをし始めました。自力での排泄は難しいかもしれないと言われていたので、これなら大丈夫かもしれない…
嬉しさ半分、でも、こんなはずではなかったが半分。複雑な気持ちで一晩クロと共に過ごしたあの日。
結局、ステロイド剤が効いている間は歩き回れるようになり、しかし、それもつかの間、クロは猫白血病ウイルスによる癌の発症が原因で極度の便秘症に、転院先の病院で拳大の腫瘍が見つかり腸や神経を圧迫していることが判明します。歩けなくなる原因もこの癌の仕業でした。
9年前の今日、家族になったあの日、まさかお別れまでが半年という僅かな時間しか残されていないなんて思ってもいませんでした。出逢ってお別れまでがたったの半年。クロはあっという間に駆け抜けて行きました。
私にとってこの8月29日は、家族に迎えた大切な日ではあるけれど、辛い思い出の始まりの日でもあります。元気に写った写真はたったの3枚。後は、病気で痩せこけた痛々しい姿しか残っていません。
クロとの出逢い。そして安楽死という形でのお別れ。普通には迎えられなかった死。
私には強烈過ぎて、当時のあの記憶が私の頭から離れることはありません。
クロとの出逢いの意味は何だったのだろう…。今なお答えを探し求めています。
だだ、このクロとの出逢いが後の猫生活へと結びついて行きます。
しかしながら、私の願いは心穏やかにゆったりと猫と過ごすこと。そのはずでしたが、今また5匹の猫と共に追い込まれた慌ただしい生活を送ることになっしまっています。
何を血迷ったか、自分のキャパシティを超えて保護している愛親子。
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この子らとの出逢いの意味は何なんだろうか。
またしても、悩むことが多くなりました。
追い詰められた私が今思うこと…
こんなやり方をしていて、いいのだろうか。
この子達は里親様を無事に見つけることができるのだろうか…。焦ります。
少しばかり弱気なっている自分がいます…
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