
余命宣告された14歳の「もすけ」の最期を
34歳会社員の飼い主「鈴木」が看取るという獣医師監修のフィクション漫画です。
ネコジにおられそうなスーパー猫ボランティアの「ダリアさん」も
自宅介護の指導に登場します。
―飼い猫さんたちの多くは飼い主をおいて先立ちます。それは不幸なことではなく、自然なこと。安心できる環境で自分を猫かわいがり(まさに!)してくれる飼い主さんのもと生涯を閉じるなんて、猫からすれば「先立つ幸福を祝ってください」といったところではないでしょうか。(「はじめに」より)―
物語はもすけの余命宣告に始まり、介護の環境づくり、投薬、副作用、食事、
自宅点滴、治療方針の選択、緩和ケア、そして最期の時を迎える…
という流れの中で、基本的な対応からあの手この手の工夫まで、
コラムを織り交ぜて紹介されています。
この本の制作に携わった方々はみな愛猫愛犬の看取り経験者ということで、
巻末にその子たちの紹介があるのも制作側の温かさ・思い入れを感じました。
また、本の中では食欲の落ちているもすけの為に何とか食べられるものをと鈴木が奔走する場面が登場します。
これについてコラムには以下のように書かれています。
―最近は猫との暮らし方にまつわる本や情報が充実し、フードについても「総合栄養食、それもプレミアムフードという種類がベスト、人間の食材はむやみにあげないように」と発信しています。確かに正しい情報ですが、それを続けた結果、食の間口がせばまり、もすけくんのようにいざというときに食べるものが無いというケースも。
(中略)嗜好性の高いフードはむしろ食欲が落ちた時に役立つ場合があるので、そのためにとっておき、若いうちや元気なうちはプレミアムフード+手作り食というように薄味のフード、そしてさまざまな食材に慣れておくとよいですね。(「ドクターズコラム4」より)―
この考えはまだ介護に直面していない飼い主にも役に立つと思いました。
主食を大切に、でも色々食べられるのも大事だよってことですね。
嗜好性の高いフードといえばちゅーるが真っ先に浮かびますが、うちでは時々おやつに、ぬるま湯で薄めてあげてます(ケチじゃないよー)。
それでも食いつきはめちゃくちゃ良いので、元の味はだいぶ濃いのかもしれませんね…
日持ちするおやつも複数ストックしておきたいのでゼロにはしないと思いますが…
知識を得るための本としては、情報量は決して多くはないと思います。
ネットで調べたり獣医師に聞けば得られる内容ばかりかもしれません。
ただ昔と違い動物医療も進化して選択肢が増えた分、
正解のない中で飼い主が迷う場面も増えてきていると思うので、
この本でターミナルケアの全体像を眺め、まだやれる事/やれない事を整理し不安な気持ちを和らげる事が出来るやもしれません。
※とても良い本だったのですが、1点だけ。
本章とは全く関係ないですがダンボールに<だれかひろってください>と書かれていたので…
捨てた側の人間の罪悪感が報われそうな表現には違和感を持ってしまいました…フィクションだからこそ余計に。
犯罪行為を美談に埋もれさせないで欲しいです😣
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