その(自称)娘の家には、たいそう美しい麦わら姫がおり、麦わら姫は毎日懸命に、悲しむ(自称)娘をなぐさめておった。
じゃが、(自称)娘の哀しみは深く、麦わら姫がどんなになぐさめても、(自称)娘はなかなか元気にならなかったそうな。
そんな(自称)娘と麦わら姫の前に、ある日、見たこともない大きな体を持つ、ふてぶてしい顔つきの猫が現れたそうな。

なんと、その猫は、伝説の「たわら猫」だったんじゃ。
(自称)娘と麦わら姫は、たいそう驚いたが、そんなふたりを無視して、そのふてぶてしい顔つきの猫は、顔つき通りふてぶてしく、その家に勝手に住み着いたそうな。

(自称)娘と麦わら姫は、全く出て行くそぶりのないたわら猫に、ついには根負けして、仕方なく一緒に暮らすことを承知することにしたそうな。
(自称)娘の家に住むことになったたわら猫は、たいそうご飯を食べ、その家のニャンゲル係数を85%まで引き上げ、そしてたいそう大暴れして、その家の修繕費を引き上げたそうな。

そして、とても猫がやることとは思えないような、(自称)娘の想像の斜め上をいく行動を次々ととったそうな。
たわら猫が家に来てから、(自称)娘と麦わら姫の毎日は、驚きの連続だったそうな。
それでも、そんな無茶苦茶なたわら猫の様子を見ているうち、いつしか(自称)娘の目からは涙がこぼれなくなり、顔に笑顔が戻ってきたそうな。
たわら猫も、そんな(自称)娘の姿を見てたいそう満足したんじゃと。
一緒に暮らすうち、いつしか(自称)娘とたわら猫は、本当の家族になっとったんじゃ。
それから数年。
(自称)娘と麦わら姫、そしてたわら猫たちは幸せな日々を過ごしたそうな。

たわら猫はたくさんの笑顔と、たくさんの福を(自称)娘だけではなく、その周りの人々にも与えたそうな。
たくさんの人とたくさんの猫たちが、たわら猫のおかげで幸せになったんじゃと。
そうして、(自称)娘と麦わら姫、そして周りの人々や猫たちを「これでもか!」というほど、散々幸せにすると、たわら猫は、ある秋の早朝、(自称)娘たちの前から去って行ったそうな。
それはそれは満足そうな顔で…

「たはら猫」
たはら猫とは
こころ寂しき
者の前に
あらわれる
よくよくに肥ゆる
こめだはらの
やうな猫
江戸時代中頃に
おいて
笑ひと福を齎す
縁起絵として流行した
(自称)娘の元からたわら猫が去ってちょうど2ヶ月が経った。
それでも、たわら猫が運んだ幸せは、今でも変わらず(自称)娘の胸に残っておるんじゃと。
そして、いつまでも、いつまでも、(自称)娘は、たわら猫を思い続けるんじゃそうな。
笑いと福を齎す「たわら猫」
明日はあなたの元に現れるかもしれません。
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