『恋しければ形見にせむとわが屋戸に植えし藤波いま咲きにけり』
今の言葉では「恋しいので形見にしようと自分の庭先に植えた藤が、今咲いている」となります・・・
都から移り住んだ寂しさを癒すために庭に藤を移植したという歌のようですが、この時代、藤の花を女性に見立てた恋の歌がとっても多いです^0^
私と藤の花の出会いは今から35年くらい前、大坂から四国に転勤になった春先でした。ちょうど桜の季節!近くの琴弾公園(寛永通宝の銭形砂文字で有名)に花見に出かけて行った時、たまたまそこで開催されていた植木市でこの運命の藤の盆栽を見つけました。藤の美しい花房からは甘い香りがし、紫や白の色合いはマンションのベランダにもよく調和していました。垂れ下がった藤の花の美しさとこの鉢全体が醸し出す色と形のバランスのよさに惚れました。自分の持ってる鉢植えで親父に唯一褒められたのはこの藤だけでした^0^
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写真1 初めて出会ったヤマフジに接ぎ木されたノダフジの盆栽
一般的に見かける藤はノダフジと言われ蔓が右巻きに巻き付き、山に咲いている藤はヤマフジと言われこちらは左巻きだそうです。私が見つけた鉢植えは幹の丈夫な「ヤマフジ」と花が綺麗で垂れ下がっている「ノダフジ」との接ぎ木の藤です。花が咲いているのは勿論「ノダフジ」の方です。日本では、本州から九州に「ノダフジ」、兵庫県以西の本州・四国から九州に「ヤマフジ」の2系統の種類が自生しています。一般的に藤と呼ばれるものはノダフジを指します。2種の大きな違いはつるの巻き方と花穂の長さで、つるが時計回りで花穂の長いのがノダフジ系、つるが反時計回りで花穂が短めなものがヤマフジ系です。この特徴から、ノダフジは庭植え、ヤマフジは鉢植えにされることが多いです。この他にも、アメリカの南部に自生する「アメリカフジ」や中国原産の「シナフジ」という種類もあります。
このお気に入りのフジが1990年代のある春、冬の水やりをいい加減に管理していたのが悪かったのか、5月になっても芽が出てきませんでした。枯れてしまったのか?いや枯らしたのだ!!あまりにもショックな出来事で涙が出て止まりませんでした・・・・・
それでも、諦められないから辛抱強く水やりだけは続けていました。神様がいました!!なんと8月のある日、親木の「ヤマフジ」の方から芽が出てきました。ほんとうに嬉しかった、藤の生命力に改めて感嘆ですね!!
残念ながら接いだ「ノダフジ」は救われませんでしたが・・・その「ヤマフジ」が花をつけるまでには10年くらいかかりました。写真2は「ヤマフジ」として形を変え初めて花をつけた時のものです。根元の右下に見えるノダフジの幹、枯れてはいますがヤマフジの開花を陰で支えてくれています!!
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写真2 親木のヤマフジから蘇った藤の鉢植え
藤はマメ科の植物で油との相性もよく、花を房から外して天ぷらにして食べることができます。天ぷらの衣を薄づけにすると、花の紫色が透けて目にも鮮やかです。また、おひたしや酢の物にすると爽やかな香りが広がります~♪
春に紫色の花を咲かせる藤は特に見頃の時期を迎えると、摂津の野田藤、牛島の藤(春日部の藤花園)、春日野の藤などの名所には、美しい花を見に多くの方が訪れます。藤の花の香りは人によって甘い・爽やか・優しい・などなど、匂いに対する印象はそれぞれです。これは藤の種類によっては香りの強さや質が違ってくることも関係していそうです。花房の垂れ下がるノダ藤のほうがヤマフジより匂いが濃いと言われています。
似ている香りはジャスミンという人が多く、もし藤の香水を探しているなら、ジャスミン系のものを試してみるのもひとつの方法です。 また、この香り好きなのは人だけでなくミツバチや以前日記に紹介したアゲハ蝶などの昆虫類も大好きでよってきます。もしかしたらミツバチたちは「藤の花に行くとなんだかいい気持になるのよね」なんて会話をしているのかもwww
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写真3 蝶のような形の小花を房状に垂れ下げた藤
香り高い藤の花蜂蜜にはマメ科の樹木の特徴でもあるねっとりと舌にまとわりつくような甘い木肌のエグミと酸味があります。次第に広がる果糖のグラマラスで濃厚なラムネ菓子を思わせる甘さ。白コショウのようなスパイシーさも感じられ、きりっと自己主張した甘さと酸味、スパイシーさが引き立ちます。藤の花の香り成分には優しい匂いだけでなく、強い抗酸化作用の成分も含まれ健康食品にもなっていて、女性に人気のはちみつとなっています。藤の花の蜜は、癖が少なく、食べやすいので、そのままでも、パンに塗っても、お料理に使用しても使いやすいはちみつです。近年、専業養蜂家も減り、良質な国産はちみつが徐々に少なく、特に藤の花からとれるハチミツは貴重になってきています。
香川県に移り住んで7年目(2021年)、フジの植木鉢も一回り大きくし枝も切り詰めました。30年以上生きてきたフジ、何歳まで生きられるかわからなくなりました。枝芽があまり出なくなり、ほとんどが花芽!!花が終われば葉はいくらか茂りますが、枝やつるはほとんど伸びてきません。すっかり老木の仲間入りをしました!! 人と同じように、老いたらもう大きくはならないのかな??でも、そのわりにはいつまでも綺麗な花を咲かせている。
写真4は今年の我が家のフジを撮影したものですが、残り少ない人生を楽しむように華やかに咲き誇っています^0^
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写真4 2021年の我が家のフジ 撮影2021/04/06
み~たんはお外を眺めるのが大好き、特に籐製の椅子の上から眺めるのが・・・・ベランダでは藤の花の甘い匂いに誘われ、数匹のミツバチが花の蜜を吸っています。み~たんはそんな飛び交うミツバチに興味津々!!夢中ですwww。今月の26日にはみ~たんは9歳に、パパは○△歳になります。
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写真5 ベランダを眺めるみ~たん
最後に、藤の花を毎年うまく咲かせることの出来ない人のために、一解決法があるブログに記載されていましたのでご紹介いたします。ブログ名は「藤の立木仕立て、必ず咲く剪定方法」ですが、そのURLは下記のとおりです。
クリックすればご覧になれます、是非参考になさって下さい!
https://greensnap.jp/greenBlog/4366662
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