猫族は概して前向きな性格をしているけれど、
彼女は何か「嫌なこと」をされても、あんまり覚えていないよう。

これが悪い点としては、トイレをちゃんと覚えないこと。
昨今の体調不良とは別の理由から、もともとトイレはうろ覚えだった(笑)
それが良い点は、薬をあげやすい、ということだ。
今まで、色んな猫族に錠剤を与えてきたが、
ノンノほど与えやすい子はいなかった。
口角に指を入れると、カンタンに口をあけてくれる。
そしてそこにポイっと錠剤を放りこみ、口を閉じておよそ3秒。
たいていの猫族は、2~3度でこれを警戒するけど、
ノンノは毎回忘れてて、一日2度のそれを嫌がったことがない。

夜の点滴も、まだそれほど嫌がらず…
だから自宅治療はやりやすい。
そう思ってたけど、ひょっとすると彼女は、
あることを分かってるのかもしれないなと、ふと。
彼女がこの治療をどう感じているか、それは正直分からないけれど、
すぐにケロリとして、膝の上に乗りたがる。
少し撫でると、ずっところころ言ってる。
出勤前に、薬をあげて、
けれどもすぐに私の足元にまとわりつく。
そうして私は毎朝、後ろ髪を引かれてる。

夜は、妻と私の布団の中にかわるがわる潜り込む。
最近は暑くなってきて、頭だけ出して眠るようになった。その姿は何とも可愛らしい。
いまはきっと、色んなことが辛いはず。
それでも彼女は私たちとの約束だけは、忘れてないんだろう。
名前を呼ぶと返事する。
しっぽを立てて、そばに寄り添う。
抱き上げても、一切抵抗するそぶりもない。
うちの「ほぼ娘」は強いなと思う。

彼女は私たちが絶対に裏切らないってことを知ってるんだろう。繋いだ手を離さないってことも。
だから、任せてくれてるのかもしれない。
そしてそんなノンノの「ほぼ父親」そして「ほぼ母親」の私たちも、ノンノと同じく「ものわすれ」がひどいものだ。
だから、今まで私たちは、色んな猫族を神様に返してきたんだけれど、都合の悪いことは忘れてる。
ノンノはまだまだ返さない。
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