それは2012年の3月の寒い朝のことでした。にゃおーん、寒いよー、お腹すいたよーと、あてもなくさまよっていました。
突然、知らない家のドアが開いて、目の前に何かが飛んできました。これは…??ちくわ、という食べ物だそうです。ここしばらく食べ物にありつけていなかったので夢中で食べました。またこの家に来れば何かもらえるかもしれない、でも人間は怖い…それでも、他にご飯を食べれる当てもなく、毎日通うようになりました。
3月が終わるころ、人間が近づいてきました。すごく怖かったですが、勇気を出して少しだけ触るのを許しました。とても緊張して…いけないことだと思いましたが、私は爪で一撃をしてしまいました。
しばらくして、ご飯は食べるとカリカリ音がするものに変わりました。ここにいれば食べ物にはありつける。人間は怖くてたまらなかったのですが、この家の庭に住むことに決めました。

季節は6月。わたしはまだ2キロもなく痩せていましたが、命懸けで赤ちゃんを生みました。でも人間なんて絶対に信用できない。優しそうに見えるだけ。人間の前に連れてくるわけにはいかない。一生懸命1人で頑張りましたが、すぐ赤ちゃんは動かなくなりました。
その後も変わらずわたしはここにいました。ここにいれば朝と夕方、必ずご飯にありつけます。
でも、ご飯の場所が、庭ではなく部屋になりました。ドアは開いていましたが、怖くて、怖くて、ご飯を食べた気がしませんでした。
9月5日、3匹のチビちゃんを生みました。
人間が、倉庫の扉を5センチ開けてくれていたので、今度は赤ちゃんを連れてきました。裏は山だし、人間は来ないし、安心して子育てできそうです。ただ、庭にはこんなのも出ますが↓

9月17日の夕方、いつものように、警戒しつつ部屋でカリカリを食べていました。突然バタンと音がしてドアが閉まりました。パニックになり、鳴き叫びました。大切な子どもたちまで捕まってしまい、やっぱり人間なんて信用するのではなかったと思いました。毎日毎日、精一杯声が枯れるまで必死に鳴いて訴えて、子どもたちを外に連れ出そうとしました。

猫砂なんて使ったこともないし、トイレをどうしていいか分からず、人間が使っている柔らかそうなタオルや洋服や座布団でしていました。不安で、怖くて、毎日シャー、シャー人間に怒っていました。
やがて2匹の娘たちはもらわれていき、息子のルカが残りました。毎日、ルカはべったり人間に甘えています。…私もやってみようかな。できるかな…
一年後、そっと、人間の膝に自分から乗ってみました。人間に自分から近づくのも、まして膝に乗るのも初めてで、かなり挙動不審だったと思います。とても緊張しましたが、膝の上はあたたかかったです。
それから私は変わっていきました。人間…ではなく、母ちゃんにだけ、心を開きました。飼い猫になるのも悪くないかな…
母ちゃんは、私のことを可愛がってくれます。大切にしてくれます。10年たった今も変わりません。私はずいぶん歳をとりました。でも、安心できる居場所があって、何の苦労をしなくても美味しいご飯ももらえます。あの時勇気を出して飼い猫になれてよかったです。この先も母ちゃんと、ゆっくり、ゆっくり、穏やかな日常を過ごしていきたいと思います。
子どもたち生後2週間

生後20日

プリンの気持ちを代弁してみました。この子は避妊手術が失敗し、2か月も膿んで、再手術にも耐えました。
凶暴プリンが飼い猫になるまで、何度も心が折れそうでした。家の中を怖がり、大好きなお外に出たくて(しばらくは仕方なく出していた)暴れて家具を噛み、カーテンを破り、プリンにとって相当なストレスだったと思います。
今はすっかり甘えん坊で、めんこいめんこい宝物です。あれから、膝の上がすっかり気に入り、この日記を書いている今も膝の上で寝ています。プリンもわたしも今日も幸せでした。
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