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ドヤ顔してるけど、それ、私の上着の袖だから。
積もつたなあ。
櫻姫は庇から落ちる水滴や、庭木から落ちる雪の音にビクビクしながらも朝ご飯を食べ、出窓から外を見張つてゐる。
寒くないのだらうか。
雪国産の夫は、毎年雪の予報が出るや否や冬タイヤに履き代へる。
積雪が五cmだらうが十五cmだらうが、ノーマルタイヤで出歩く等、夫にはとても考へられないさうな。
確かに、毎年のやうにスリップして道路を塞いだり、他家の塀に突つ込んだり、歩道に乗り上げたりする人がゐる。
一昨年は坂道で立往生した数台の車を、たまたま居合はせたアウトドアが趣味の方と二人で、持つてゐたスコップで掘り出して救助した。
なかなか帰つて来ないので心配してゐたら、雪塗れの汗だくで帰宅。感謝はされたさうだが、こちらは呆れ果てて言葉も出なかつた。
その他にも、路肩に突つ込んだ車をそのまま放置して帰る人、チェーンを駆動輪とは逆のタイヤに掛ける人、やたらとアクセルを吹かして、そこら中の雪をスタックしまくる人。
自分の命や他人の命を危険に晒さない為にも、少しだけ考へて、備へて欲しいと思ふ。