病院から1本の電話があった。
検査結果を次回通院時ではなく電話で伝えてくるのは、
あまり良い話ではないだろう。
そんなことを感じ、やや重い気持ちで電話を受ける。
肥満細胞腫の根が、姐さんの身体に深く浸潤していて、
手術では取り切れていない、とのこと。
詳しくは次回お話ししますと。

で、それから2日ほどして病院へ行く。
手術で切除した腫瘍の生研を見ながら、同じ話を聞いた。
腫瘍の周縁部でも癌細胞が見つかっている、ということだ。
「犬の場合は、抗がん剤が効くが猫の場合は効かない」
「再発や転移を抑える、という意味ではステロイド治療を勧めたい」
説明はざっとはそんなところ。
要は、ステロイド服用一択で、それをやるかやらないかである。
むむぅ、である。
悪性腫瘍の中では比較的悪性度が低いとは言え、
再発したら手だてがなくなるのも、この病気の怖いところ。
切って終わりじゃないのが癌とは、知っていたつもりなんだが。
私も大腸がんのサバイバーではあるけれど、
例えばニンゲンの抗がん剤治療の場合は、
標準治療として限界値が設けられている。
だから治療には基準となる「終わり」がある。
けれども、このステロイド治療には「終わり」がない。
その気になれば生涯続けることも可能だ。
エビデンスがある治療法は積極的に受けたいとは思う。
費用は、頑張れば済むことだ。
それでも、姐さんに一生薬に頼るようなことを、させたくはない。
悩んで悩んで、
とりあえずは3か月ほど続けてみることにした。
副作用があまりに強く出るようなら、すぐに止めるだろうけど。

そんな私の心配を他所に、
姐さん自体はすこぶる元気である。
元気すぎて一度傷口が開き、もう一度縫い直してもらった(笑)
おかげで抜歯期間が倍ほど伸びたのだ…
病気といい、
変なトコロまで私と似るものだ。
苦笑しながら頭を撫で付けると、細い目をして覗いてくる。
こんなにも愛おしいんだ。
私と姐さん、ふたりの寿命を足して割ったら、
一生一緒に生きられるのにね。
最近のコメント