ガーちゃんのこと…5

2025年1月21日(火) 108 / 0

ブーちゃんが言った通り、次の日には、ボクはベランダに出してもらえた。空が青くて高い…窓から見ていた空よりずっと…。
さぁ!ママの所に行くぞ!そう思ったけど、周りの壁は高くて硬い。ジャンプしてもとどかないし、爪もかけられない。
あんたじゃ無理よ。
頭の上からビビちゃんの声がした。
アラ、ビビちゃん来たの?ガーちゃんと遊んでくれる?
お母さんが声をかけるとビビちゃんはヒラリとおりて来てボクじゃなく、お母さんにすり寄った。そのままヒザに上がりこむ。
ビビちゃんガーちゃんと遊んでよ〜
そう言いながらお母さんもまんざらではないみたい。ボクはちょっとムッとしてお母さんによじ登る。ここの家に来た時からボクはお母さんによじ登るのが大好きだ。足から肩まで登るとお母さんの顔が近くなる。ガーちゃん、爪立てたら痛い!そう言いながらもお母さんはボクが登るのを止めない。肩まで登るとすごいね〜とボクに頬を寄せる。今日だってそうだ。どんなもんだい!
いつの間にかやって来たブーちゃんとシッポちゃんが離れた所からその様子をみていた。
ブーちゃん、シッポちゃんも来たのね。じゃぁお母さんはお家に入るからガーちゃんのことよろしくね。
ねぇ、どうしてお母さんのそばに来ないの?お母さんのこと嫌いなの?
ブーちゃんとシッポちゃんは、決してお母さんに近づかない。ご飯をもらう時でも、お母さんがご飯を入れてウチに入るまでちょっと離れた所で待っている。ベタベタのビビちゃんと大違いだ。
オレ達はノラネコだからな。
お母さんのこと嫌いなの?
嫌いじゃないさ。
ブーちゃんはなんだか答えにくそうだ。
それより、オマエ、ママの所に行くって言っているが、ママがどこにいるのか知っているのか?
ブーちゃんに聞かれて今度はボクが困った。
知らない…
じゃぁ、オマエが拾われて来た草むらがどっちの方向にあるのか、わかるか?
ボクは首を横に振った。
つまり、どの方向でどのくらいの距離かまるでわからない場所に行こうとしているってことだな、で、その間の飯はどうするんだ?オマエ、狩りをしたことないんだろう?
黙り込むボクにブーちゃんは優しく言った。
そういうことだ。旅に出るには準備がいる。とりあえず、狩りとケンカだ。オレ達が鍛えてやるから安心しろ。
こうして、ボクの訓練が始まった。

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