ご近所さんから以前話を聞いていた。
「野良ちゃんが仔猫を産んだみたいなの。全部で6匹。これも御縁だろうから、毎日ご飯をあげてるのよ。でも仔猫ちゃん達、今は3匹しかご飯を食べに来ないの・・。」
キツネに食べられたか、鷲に取られたか、病気・怪我で亡くなったというところだろう。ないるを保護した時も、このご近所さんに真っ先に知らせた。
「別に飼っているわけではないのよ。たまたま住みついちゃった猫に餌をあげてただけ。もし、飼って病院に連れて行ってくれるのなら有難いわ!」
牛だけで、百頭単位で飼っているのだ。そこにたまたま住みついた野良ネコににご飯をあげてるなんて人なんて、そうそういない。実に優しい人である。
私も、この近辺の道路で黒猫を何度か見かけたことがある。この極寒の地に、野良ネコはそう多くはいない。大抵、同じ所で見かけているから同じ猫だろう。これが多分ないるの親だ。
ご近所さんが、餌付けをしていたせいか、ないるは実に人懐っこい仔だった。初めて会う人でも大人しく抱っこされてる。しかも、ゴロゴロ言ってる。子どもにワチャクチャにされても、大人しく抱っこされてる。自分から私の膝に這い上ってきてスヤスヤ寝てる。
「野良ちゃんで、こんな大人しい仔、なかなかいないよ。」
「そうなんですか?」
・・・猫はないる以外知らないので、比較のしようがない私。
保護した時には、すでに離乳も終わりドライフードを食べたないる。
トイレも、砂を置くだけで一人でカキカキしていた。恐らく親猫から教わったのだろう。
我が家に来てから、本気噛みなど一度もしたことがない。恐らく兄弟との暮らしの中で、学習したのだろう。
1週間ほど前、家の近くを歩いている黒猫を見つけた。縄張りを巡回しているのか、角を曲がって消えてしまった。ないるは私の肩に乗ったまま、窓からそれをじっと見つめていた。ないるがそんなに長く、一つのものを見つめているのは初めてだった。
ないるは、産みのお母さんのことを覚えているのかな。お母さんに会いたいのかな。ちょっと切なくなった。

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