シマの事。④

2005年12月2日(金) 2005-12-02T01:58:48+09:00 385 / 5

いよいよタロをキャリーに入れてタクシーに乗りシマの待つウチへと
到着しました。玄関を開けるとシマが勢い良くお迎えに来てくれました。
「？」何となく僕達がヘンなモノを持っている事に気が付いたようです。
ファーストコンタクトは人間もネコもきっと凄く大事です。
ノラ時代に苦労したシマならきっとマリモのようなタロをかわいがって
くれるに違いありません。そーっとキャリーの扉を開けました・・・。
出てきません・・・。見るとキャリーの奥でシャーシャー言ってます。
ファーストコンタクト失敗か！？とシマの顔を見ると以外や以外
案外ケロッとしています。やはり苦労したネコは懐が違います。
ていうかタロの方が心配なのでとりあえずケージに入れて様子を
見る事にしました。相変わらずシャーシャーと威嚇を続けてます。
続けながらもケージに入っているおもちゃとか餌とかに興味を
示し始めました。でも遊びながらもシャー!食べながらもシャー!で
こちらも疲れてきました。その間シマはジーッとタロを見ていました。
少したって僕らが目を離した時「ガシャッ！」と音がしました。
なんだろ？と思ってタロのいるケージを見てみるとそこにはスザマシイ
光景が広がっていました！！
何とタロがケージの天井に噛み付いてそれだけで全体重を支えて
ぶーらぶーらしているではありませんか！！（遊んでたのか！?）
「こいつはきっとどでかい事をやる！！」と当時は本当に思いましたが
一緒に生活してはや十年、特に何もありませんでした。（無念・・・。）
そもそもネコに「宝くじ当てて～！！」とかお願いするのが間違ってると
僕は思います。（実際お願いしたりしたのは僕ですが。すみません。）
とにもかくにもタロは少し落ち着いてきたようです。
シマにも興味が湧いてきたようでシマに向かってニャーニャーと
ケージ越しに鳴き始めました。シマはというと遠くでタロの事を見て
いましたが段々とケージに近づいてきました。シマはタロに対して
どんな対応をしているのかドキドキです。タロは甘えた声で「ニャー」
と鳴いています。きっとシマはペロリとタロのおでこをなでて僕に
「ケージから出したげて。」とか言うんだよ！と僕も彼女も漫画のような
妄想を抱いていました。

現実は甘くありませんでした。

シマがタロのおでこに出したのはベロではなく「fist」。そう、拳でした。
それもすざましい速さで！！タロが「ニャ！」と鳴こうが「ニャゴ！」と
鳴こうが「キュー」と鳴こうが結果は同じ拳の返事でした。
始めはその光景をボーっと見ていた僕等でしたがハッと我に返り
レフェリーストップ。シマを引き離しました。かなりショックでした・・・。
しばらくタロはケージに入れておく事にしました。
何でだろう？ノラ時代に苦労したシマがタロにあんな事するなんて。
僕等は原因を話し合いました。ひょっとしたらタロがネコ語でシマに
「何だこのババァ！くんな！あっちいけ！」とか言ったんじゃないかとか。
（そりゃ怒るけど・・・。）結局その時点では分かりませんでした。
しばらくタロに対するシマの鉄拳は続きました。とはいえタロも
外に出たがります。数日後思い切ってケージの外に出してみました。
・・・・・・。シマが来ました。

タロをペロペロ舐めてます！！

やった！！と思った瞬間タロがシマに飛びつきました。
ちょっとタロがじゃれて噛み付いた途端「スパカーーーーン！！！」
また拳です！何となく分かりました。
シマはネコ世界の上下関係をタロに教えていたのです。
「このウチではアタシが上なんやで！」という感じに。
箱入り息子のタロはそういったネコ社会をシマから学んでいきました。
そして僕等が会社に行く時初めてタロをケージから出して
お留守番をさせたその日の帰りドキドキしながら玄関のドアを開けた時
二人仲良くそろってお迎えに来てくれた時「もう大丈夫だ～！！」
とホッとしました。シマも一生懸命タロに教え、タロも一生懸命
学んだのです。そして二人は仲良し兄弟になったのです。
（相変わらず拳は出ていましたが・・・・。）
（つづく）