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昔のお話
2017年2月25日(土) 281 / 2

かれこれ20年ほど前まだ私が学生だった頃、自動販売機の影のダンボールの中で小さな猫に出会いました。
多分捨て猫なんだろうと思った自分はその子を拾って帰り、親を説得して家で飼うことにしました。

とは言うもののその子はとても人見知りで餌は食べるものの触ろうとしたり近寄ると、狭いところに逃げ込んで、人との接触を極度に恐れている様子でした。

拾ってきたばかりの私は「猫は撫でればゴロゴロ喉を鳴らして膝の上でお昼寝する」そんな猫イメージしか持っていなかったため、この子のリアクションにはガッカリしていました。

それでも人間から多少離れているときはひとりで遊んでいるような様子も見受けられ、私もそんな距離感に慣れてしまって、そこまでしつこく相手をせず、田舎なので勝手口を開けっ放しにしてその子の好きなように生活させていました。私の立ち位置はまさしく餌やり係兼トイレ掃除係。遊んであげることもないし撫でてやることもない。
ちょっと遠目からその子の様子をうかがうだけ。

愛情を持って接していたのかというと自分でもよくわかりません。たまに一人で遊んでいてこちらに転がってきたボールとかを2メートルほど離れたところから物欲しそうに見ているその子に、自分の近くにあるから近寄れないんだろうと思って離れた方に放り投げると、それに向かって走っていくのを見て「なんか飼い主とペットみたいだな」とか思う程度のコミュニケーションしか取れていませんでした。


そんな関係が1年半ほど続いた冬のある日、部屋のこたつにいる私のところにその子がやってきました。おもちゃでも転がってきているかと思いまいしたが、そんな様子もなく、不思議に思っていると、トコトコと私に近寄ってきて、私の膝の上に乗って香箱座りでまどろみ始めたのです。

私は何が起こったのか混乱しつつも嬉しい気持ちで一杯になり、その日はこたつで一緒に寝ました。

次の朝起きると、私のそばには二度と目の覚めない猫が横たわっていました。

インターネットもない時代。その子がどうしていきなり死んでしまったのかもわからず、自分の知識の中では「猫は死に際を飼い主に見せない」となっていたので、私は飼い主とは見てもらえてなかったのだろうな・・と思う程度の感情しか湧いてきませんでした。

初めて飼った猫がそんなことになってしまったこともあってそれから猫を迎えるようなこともなく数年の歳月が過ぎ、世の中にはインターネットというとても便利な情報の泉が普及していました。

そこで何気なく調べた「猫の死に際の真実」は、私の頭をガツン!と殴りつけるほど衝撃的なものでした。あの子は最後の最後まで決して近づいてきたりしなかったけれど、私のことを安心できる存在としてみてくれていたんだなと思うと、それまでわかなかった悲しみ、後悔が頭のなかに押し寄せて来て、気が狂いそうになりました。

それから新たな子を迎えるまでには15年の月日を要しました。


なんでこんなことをダラダラと書き綴っているのかには理由がありまして、昨夜コタツで寝入ってしまい明け方にまどろみつつ目が覚めると、コタツの上にちーちゃんが座っていてジーっとこちらを見ていたのです。

まだ目覚ましもならない時間だったので普段近寄っても来ないくせに何やってんだろうとか半分夢の中で思いつつまた寝てしまい、再び6時頃に目を覚ますと、ちーちゃんはまだコタツの上に座っていました。

何気なく上半身を起こすと、ちーちゃんはすすすっと寄ってきて、おもむろに私の鼻に鼻をタッチさせてきたのです(*°∀°)=3

それまでろくに構ってくれなかった子に一体何が起こったのかと、その場で抱き上げてもふもふしたいのをぐっと我慢して、いつもどおり朝ごはんをあげて仕事に行き、晴れやかな気分で仕事を終え家路へと急ぎました。

夕方帰って来ると、玄関前で早く飯をよこせと出迎えに来ていたらんらんを撫でつつ、らんらんの後ろにいるちーちゃんを、いつもは素通りするのですが、もう撫でてあげてもいいだろう!もしかしてゴロゴロ言っちゃうかも!?
くらいの期待値マックスな気分で手を伸ばしてみると


触らせてなるものかと、ズサーッと後ずさりするちーちゃん・・・朝のデレは一体何だったのか・・・



でも焦らず愛情を持って接していれば気持ちは伝わるんだと少しだけ感じて、昔のにゃんこを思い出してしまった一日でした。


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