親子ほど歳の離れたゆとりの後輩...

2017年4月15日(土)

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「まーだ売れねんかい？」

「はい、売れないっす...」

近所のじいさんばあさんに
おなじみの挨拶を交わす...

コイン坊っちゃまの
召使いでございます...

またいつもの売出し現場に
来ている...

1月に完成し、販売開始してから
かれこれ500万近く
値下げした結果となる...

こちらの仲介手数料は
規定どおりだが

建築した側からしたら
もう利益なんぞないだろう...

いったいどうなることやらだ...

今日は風が強いが
ずいぶんと暖かい...

また以前の職場のことを
思い出す...

大卒で新卒の女の子が
自分の下につき

面倒見役となった...

世間で言われる「ゆとり世代」
というものだ...

色んなことを言われているが

その新人の子を見る限り

自分が社会人1年生の時よりも
ずっと立派だなと思った...

パソコンやインターネットに
長けているし

情熱のようなものはないにしろ

おとなしく
言われたことを
きちんとやるタイプで

私が面倒見役などならなくても
充分やっていける子だな
という印象...

親子ほどにも歳が離れた
私と彼女だったが

お互い、全く年齢差に
気を使わない雰囲気だったし

よく飲みにも行った...

ある日、彼女は言う...

「私も一生結婚は無理だと思います」

私は苦笑した...

20歳そこそこの若い女性が
よく言う言葉だし

そんなもんは聞き飽きた...

若い頃は平気でそう思うもんだし
そこにはなんの根拠もない...

未来を決めるには早すぎる...

私の歳でさえ

先輩方からしたら
「まだまだだ」と言われる
立ち位置にいるというのに...

彼女が家族の話をし始めた...

一人っ子で
父親と叔父の3人で
暮らしているのだという...

母親とは仲は良いものの

別居していて
もう家には戻らないと
言われているようだった...

「なんで別居してるか聞かないんですか？」

...彼女は言ったが

そんなことは聞かなくても
察している...

「別に...聞く必要ある？」と
答えた私に

彼女はなんとなく
ホッとしたようだった...

それからわりとすぐに
私は会社を去ることになる...

私が会社の考え方に
どうしてもついて行けず

使ってくれる所に引っ張ってもらう
という話をするのは

新人である彼女には
残酷なことだったが

今まで私がやってきた
仕事内容すべて

優秀な彼女が
引き継いでくれたことには
感謝しているし

きっと彼女の実になることだ...

会社を裏切るような形で
辞める私は

送別会をやらないよう
お願いした...

最終日の最後の挨拶のみとなった際、

涙を浮かべながら
大きな花束を抱えて
私に手渡してくれたのは

彼女だった...

寿退社どころか

会社の体制について行けなくなったこと...

もうお役に立てないということ...

私が未熟だったということ...

そういう人間がこのような職場には
居てはいけないということ...

私は謝罪と感謝の念で
涙ひとつ見せずに正直に話し

10年近くいた会社を去った...

彼女もきっと
私のことをこれからさらに
理解することになるだろう...

そして
辞めることが良い悪いなどではなく

自分がそこに
ついて行けるのか行けないのかが
問題なのだ...

会社組織など
たとえブラックだろうがなんだろうが

１つの規定ある世界であり

人は必ず
社会の中でどんな場所でも
属さなくてはならないイキモノ...

それは、
自由でおとなしく冷静に
争いを好まないゆとり世代だって
同じこと...

自由であり、自由でない...

戦争がないだけで
ありがたい世界のはずなのに

何かモヤモヤと
生きづらさを感じたり

出る杭は打たれたり...

つまらないことで
争いが起こったり...

信じるものや
寄りかかれるものが
なかったり...

もっと
変に何も考えず

心に余裕があるならば

幸せを幸せと
きちんと素直に感じることが
できるのに...

なんだか話の方向が
とっ散らかってしまったけど

彼女は彼女で
心に深い闇を持ちながら

「本当、ゆとり...て言われるの
嫌だなって思います...

これからもずっとそう言われて
ひとくくりにされるのは
心外だなって思います...」

...と言いながら

「あ、母からラインだ」...と

私とほとんど歳の変わらない
母親との

遠くて近く
近くて遠い距離を

大切にしていた...

まーたボクの出番がにゃい...の図