ぼくは、とーさんとかーさんと3にんでいっしょにながいことすんでいたんだけど、あるとき、かーさんのおひざのうえにいたら、きゅうにからだがとってもくるしくなって、「あれ?ぼくどうしたんだろう?」っておもったら、まわりがきゅうにくらくなって……きがついたらここにいたんだよ。
ひろい野はらがあって、キラキラしたにじいろのおおきな橋がみえるばしょにきてたんだ。
風がきもちよくて、いい匂いがして、さっきまで苦しかったからだもいつの間にかなおってたんだ。
あれえ?ここはどこだろう?
はやく帰らないと、かーさんがしんぱいしちゃう!
でも、ここがどこだかわからないから帰りみちがわからないよ……。
そしたら、ぼくとちょっとにた黒くて黄色の目の子がやってきたので、ぼくは「ここはどこですか?」って聞いたんだ。
「ここはね、虹の橋っていうんだよ。下の世界で過ごす時間が終わった子が来るところだよ」
「よくわからないよ。それってどういうこと?」とぼくはその子に聞きいたんだ。
「僕らはね、かみさまに決められた時間だけ下の世界にいられるんだって。それが終わったらここへ来るんだって」
「いやだ!ぼくはかーさんのところに帰るんだよ!」ぼくはそういったけど、黒い子は「ダメなんだって。ぼくだって父さんのところに帰りたいけど、ここへ来たらもう帰れないんだって……」と、悲しそうに言ったんだ。
でも、黒い子はぼくをはげますように言ってくれたんだ。
「でも大丈夫。毛皮をお着替えして、また下に帰ることができるんだよ」
「ほんと?!じゃあぼくすぐにお着替えに行かなきゃ!」
「ダメダメ!まだ君はダメ」
走ろうとするぼくを黒い子があわてて止めたんだ。
「なんで?」ぼくはちょっとムッとした。はやく帰らないとかーさんたちが泣いてしまうのに!
「下で過ごした子は、しばらく魂をお休みさせないと体の弱い子に生まれちゃって、結局すぐ帰らなきゃいけなくなるから、またすぐ戻ってしまうんだって」
「……そうなんだ」
ぼくはそれから黒いその子に、いろんな事をきいたんだ。
虹の橋で待ってると、いつかかーさんやとーさんがぼくをおむかえに来てくれるってこと、待ちきれなければ毛皮をお着替えして、また下に行くことができるけど、同じお家には行けないかもしれないこと、たまに、元のおうちにこっそり遊びに行くこともできるってこと。
そして、虹の橋の一年は、下の世界の10年ぐらいということ。
だからぼくは、お着替えはやめて、ここでかーさんたちをちょっと待っていてあげようと思ったんだ。
かーさんたちが、ぼくがいなくてすごく泣いていたから、ぼくの代わりに誰かぼくのおうちに行ってくれる子いないかなって思ってたら、ねこのかみさまが、遠い島からやってきて、病院でながいこと家族を待っている女の子がいるって教えてくれたから、ぼくのおうちにその子が行けるようにおねがいしたんだ。
ぼくはね、たまにおうちへ遊びに行って、美雨っていうその女の子にこのおうちのいろんなこと教えてあげたり、いっしょに遊んだりするんだよ。
でも、とーさんやかーさんにはぼくが見えていないので、ちょっとだけ寂しいなあ……。
でも、とーさん、かーさん、しんぱいしないで!ぼくはすごくげんきです!
またすぐに会えるから泣かないでね!
いつか、美雨も一緒にみんなで会えるひを待ってるね!
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今日はうちの先代、長吉が亡くなって半年目にあたります。
虹の橋で長吉はどうしてるかなあ……って考えてたらこんなお話が浮かんだので、ちょっと書いてみました。
虹の橋の一年は、人間の世界で10年ぐらいだとどこかで聞いたのを思い出しました(諸説あるようですが)
だとしたら、長吉が待つのはせいぜい二、三年ってとこでしょう(笑)
毛皮をお着替えして帰ってきてくれると嬉しいと思ってましたが、賢かった長吉は、おバカな私じゃ見つけられないと思っているでしょうから、のんびりと待ってくれているかもしれません。
私は、自分が死ぬことが怖いと思っていた人間です。でも、いつか、遠い未来……美雨も一緒にみんなで虹の橋で再会できることを思えば、いつか自分が死ぬこともあまり怖くなくなりました。
そういう意味では、長吉の死は、私の心を変える良いきっかけになったと思います。
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いつまでも愛してるよ。
必ず会いに行くから待っててね!
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