ペットショップに行く事に決めました。

2017年5月27日(土) 1935 / 36

愛猫を亡くして1年。

愛猫も多頭崩壊から引き取った、いわば野良だったので、保護猫など恵まれない境遇の子を引き取ろうと数ヶ月前から里親サイトを見ていた。

また、ペットショップで販売される犬猫の実態も見聞きしていた。だから里親募集に応じるのが人として良いことだと思って探していた。

しかし、私達の結論はペットショップに決まった。

保護活動をしている方々には頭が下がるが、私達は保護活動をされている皆様の求める完璧な里親にはなれそうもない。
完璧ではないから猫が可哀想なんて言われた日には、21年連れ添った元保護猫の愛猫との思い出すら汚されそうな気がして、里親になる事を断念した。

私達夫婦は起業家同士の結婚なので2人とも別々に会社のTOPである。おそらく、経済的な負担は何の問題もない。
ただ、二人とも働いているので平日は留守の時間がある。幸いに夫と私の出勤時間帯が違うので留守が6時間以上になる事は余りないが、私は出張があるために月に数回長時間(8時間以上)の留守になることもある。

愛猫には寂しい思いをさせていたかもしれない。それでも彼とは一緒に居られる時間を愛しみ、共に生きた。21年の年月は決して短くはなかったと思う。

最後の日、ばんでぃが老衰で数日前から水をスポイトで飲むだけで食べる事ができなくなり、後数十分で半休を取った夫が帰宅する寸前、私は大きなアポイントがあって家を出なければならなかった。
「ばんでぃ、御断りして側にいるよ」
と話しかけると、彼はそれまでぐったりと寝ていたのに急に首を持ち上げて怒ったように鳴き、ぐいっと前足を突っ張って
「行け！」
と言う仕草をした。心残りのまま商談に向かい、終わった後に家に走りながら夫に電話した。
「そうか。
じゃあ、ばんでぃはお前の商談が成立するまで頑張ったんだな。
今、俺の腕の中で息を引き取ったよ」

私は自分の父親の死に目にも間に合っていない。でも、闘病中の父は私が会社を放り出して駆けつければ怒った。猫とはいえ、21年家族だったばんでぃも多分、私がするべき事を理解してくれていたかもしれない。

虐待や社会に無責任な飼い方はいけないし、それに対して神経質になることもわかる。でも、家族の在り方はそれぞれに形が色々ある。
理想に欠けた部分をどう補えばいいかを提案するわけでなく、単に否定して選択肢を狭めていれば、処分機の中の猫達は一向に減っていかないのではないだろうか？

ペットショップには家族を迎えるにあたって理想の完璧な親になれなくても、それをどう補うかのソリューションがあるのだ。その付加価値にお金を支払う価値はある。

また、幼いうちに親から引き離されたのなら、なおさら命を削って産んでくれた親猫のために慈しんで大事に育てたい。そして売れなければ殺処分されるペットショップの猫達にも生きる権利はある。

理想の完璧な里親を追求して探すのもあり、でも、ある程度の条件を満たしつつも完璧にはなれない事情のある飼い主が欠点をお互いに補いつつ家族になれることもある。

殺処分ゼロ社会に向けて多様な選択肢が生まれてくれば良いものだ。

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