数日前のこと...
「なんだ...?突然...」
電話が鳴った...
以前、勤めていた会社の
取引先の女社長だった...
好きか嫌いか
どちらか選ばなければならないなら
決して好きなほうではない相手だったし
今さら何の用か気にはなったが
私はシカトすることにした...
女社長といっても
個人事業主ということで
社員を雇っているわけではない...
年齢は私の8つ上...
決して努力を惜しまず
志も高く、とにかく気高い女性だ...
人間として出来すぎている...
しかしながら
決して他人に好かれるような人ではなかった...
「社長というのは孤独なもの」だからか...?
いや、そうじゃない...
志が高いのは結構なことだが
気高過ぎて、
すべてにおいて自分が最高であり
周囲を見下すタイプの人間だった...
バツ1で大きい娘さんもいて
良い意味でも悪い意味でも
他人に厳しい人だった...
特にだらしない男が大嫌いだったり、
未婚や子供を産まない女性に対しては
かなり批判的だった...
私もどこかで見下されていたと思うが
私は女性の団体さまと
つるむのが嫌いだったし
とにかく口が堅い人間なので
どこか一目置かれていたのだろう...
1度だけサシで飲みに行かせていただいたが
彼女の過去話、努力話、自慢話、
娘が芸能事務所に入っていることもあり
そんな裏話を聞かされるだけの時間となったが
別に嫌ではなかった...
なんで嫌じゃなかったか...
この人は別次元の人間だから
肩身の狭い私には関係ないし
テキトーに褒めてりゃ
気分を悪くさせることもないからだ...
ましてや私自身が
彼女の嫌いな
「未婚で子供を産まない女性」
という対象に入っている限り
めんどうな感情を持たれたくもないし
持ちたくもないと思っていたので
仲良くもしないが敵にまわるような
つまらない対応はしたくなかった...
彼女を気持ちよくしておくことで
私や私のように生きる女性達を
偏見の目で見ていただかないようにすることが
私が彼女に対する「すべきこと」だと
考えたからだ...
自分に誇りを持っていることは素晴らしいし
それでいて努力をも怠らないならば
それ以上に素晴らしいことはない...
しかしながら
彼女に人がついていかないのは
その「自分の素晴らしいこと」で
とどめておけばよいのに
わざわざ周囲に目を向け、見下し、
自分と生き方や考え方が違うだけで
それとなく「ろくでもない人間」
という「分別」をするからなのだ...
波乱万丈でもあり
さぞかし人よりも多大な努力をし、
ご立派に生きてきたのだろう...
それならそれで
勝手に自分で自分を
褒め称えていればよいことだし
わざわざ自分と違う生き方の...
ろくでもないと決め付けた人間を土台に
女王のイスに座ることはないのだ...
本当の女王なら奴隷なんかいなくたって
気高く生きれるはずだろう...
そんな彼女からの着信を
私は履歴から消した...
翌日、以前から見ていた
彼女のツイッターを見てみた...
どうやら救急車で運ばれたらしい...
大事には至らなかったようだが
簡単にまとめれば
「頑張り過ぎて心身ともに疲れ果て
倒れ込んでしまった」
ということだったらしい...
そのツイッターは
着信があった日に更新されていた...
そんな大変な時に
親しくもない私になぜ電話など...
「電話いただいてたのにすいません」の
一言でも文字を残そうとも思ったが
やめた...
その日のツイッターは
いくつも呟かれていて
心身共に疲れたことや
彼女にしては珍しく
絶望の淵に落とされたような内容...
そして
娘からの愛情に関する内容が書かれていた...
そう...電話は何の用かはわからなかったが
それでいい...
私になど用なんかないほどに
高い場所にいる人...
今さら何も話すことなどないし
女王のイスに腰掛けるための
見下された奴隷になどなる筋合いもない...
ただ...もし...この先
気高く、他人見下してばかりの
女王様気取りの彼女が
落ちぶれ...
みっともない姿になって...
それでも何か
私を慕う理由があるから聞いてくれ
というならば
話を聞いてもいい...
フッ...
まぁ...
そんなこと...
天地がひっくり返っても
ありえないだろうけどね...
今日もくたびれた...
たまにブサメンになる
可愛い坊っちゃまが待っている...
帰ろう...
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