なだそうそう

2005年12月19日(月) 277 / 9

　連日猫話と関係なくて、申し訳ありませんが、さらっと読み流してください。

　明日から、冬休みに入ろうか、という12年前の12月19日、私は、校内であなたの後姿を見かけました。

　近しい仲間だった私達は、毎日クラブハウスだ、学食だ、と必ず皆で顔を合わせて騒いでいましたね。
　その時も声をかけようかと思ったのだけれど『たいした用事もないし・・・』と思って、見送ったのを覚えています。

　翌日、私は教職課程の集中講義で、大学へ登校していました。その昼休みに『Ｋが事故に遭ったってよ』と、同じく講義を受けていたサークルの後輩が声をかけてきました。『軽症で済んだらしいよ』との話に『どじだねぇ～』と、笑って、お見舞いと、どんな風にからかってやろうかと、その時は考えていました。
　
　けれど、夜になって、同じく後輩から掛かってきた電話の内容は、信じられないものでした。
　嗚咽と、パニックとで要領を得ない後輩はただ『Ｋが死んだ、Ｋが死んだ』と繰り返すばかりでした。
　自宅の仕事を手伝いに、店へ向かう途中で、安全確認を怠った車とぶつかったのだそうです。車対バイクでは、敵うはずがありませんね。軽症、という話も、親御さんが、私達に、不要な心配を掛けさせないために、という配慮から言われたことだったと。
　それ以上どうしようも出来ない彼の代わりに、親しかった友人達へ、彼の訃報を伝える電話を掛けながら、ぼんやりと思い出していたのは、前日の後姿でした。

　通夜から葬儀と、それらの席にいながら、誰もが悪い夢を見ているのでは、冗談が好きだった彼の、手の込んだいたずらなのでは、と思っていました。
　そして『あのときに声を掛けておけば。何でもいい、話をしておけば』と。

　
　この時期になると、いつも彼の後姿だったり、彼女と仲むつまじくしていた姿を思い出してしまいます。
　喧嘩ばかりして、周りに迷惑を掛けまくっていた私達をよくなだめてくれて『頭領とアオリのようなカップルになるのが目標だから』とよく言ってくれていましたね。
　
　あちらの世界から、私達を見ていて、うまくやれているでしょうか？『ええんとちゃうん？』と笑ってくれているでしょうか？

　この時期になると、無性に声を聞きたくなるのです。

・・・・・暗い話で済みません。

明日には必ず浮き上がります。

　

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