はじめての子育て

2017年10月19日(木)

ボン

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私は去年の夏、人生で初めての子育てをしました。

去年の8月13日の午後、自宅のインターホンが鳴った。

出てみると、二軒隣の奥さんだった。

普段訪ねてくることがないので、珍しいと思いつつ出た。

奥さんの用事はこうだった。

「お盆に親戚の家で法事をおこなったが、庭に生まれてまもない子猫が一匹だけいた。
　どうすればいい？」

私は内心、どうにかしてほしいから来たんじゃないの？と思ったが、話が長くなるのが嫌だったので、子猫を持ってきてもらうことにした。

しばらくして、子猫は小さなダンボールに入ってやってきた。
まだ目も開いていない全身グレーの子猫だった。

私はすぐに病院へ行き、健康診断をした。
体重８０グラムほどの生後一週間の子だった。

その日から、私の初めての子育てが始まった。
数時間おきのミルク、排泄の促しなどはじめてだらけ。

私には子供がいないので、数時間おきのミルクは経験がなく、飲ませるのも下手で悪戦苦闘💦

世の中のお母さんの偉大さを痛感した。

子猫の名前はお盆に来たから、ボンにした。
ボンは未熟な私の子育てながら、少しづつ成長した。

しかし、私は仕事の都合で家を空ける日がどうしてもあるため、ボンには預かってくれる人が必要だった。
幸い、私の友人がいない時は預かってくれることに。
前日の夜に届け、次の日の夜に迎えに行くという段取りだった。

私の仕事は毎日はないけど、朝7時半には家を出なくてはならず、友人の申し出は有り難かった。
そして友人の申し出で、子猫を行ったり来たりするのは可哀想ということで、一度お泊りに行ったら二泊させてくれることになった。

ボンは、友人の協力もあり、すくすくと大きくなっていった。
80グラムの体重もあっという間に100グラムを超え、目も開き、足がだいぶ踏ん張れるようになり、一人前の子猫になった。

ボンが来て3週間が過ぎた頃、友人がボンを譲ってくれないか？と言ってきた。4人家族で、先住猫もいて、お子さんも大きく、里親さんには申し分ない家庭だった。
でも私はボンを里子に出すつもりはなかった。
ずっと一緒にいるつもりだったし、ボンがいなくなるなんて、考えられなかった。

私は友人に断りをいれた。
しかし、友人は何度も頼んできた。

私はボンをあげたくないばっかりに、譲渡条件を色々つけた。
フードの質や医療行為など、あらゆることを言ったが、友人は全て条件をのむと
言った。

何度も熱心にお願いされた。

私は、もう断ることができなかった。

譲りたくない、離れたくない気持ちでいっぱいだけど、ボンは間違いなく幸せになれる。

そして、我が家はまた行き先のない子に出会うかもしれない。　
望まれている子を離れたくないと言うワガママで一緒にいてはいけない気がした。

生後1ヶ月のとき、ボンは貰われていった。
大切に大切にしてくれる家族のもとへ。

私は寂しさで気持ちがいっぱいだった。
喜ばしいことと、思えるまでに時間がかかった。

いま、ボンは1歳になった。年に数回会うことがあるけど、ボンは私のことは覚えていない。幸せな生活をみると、譲渡してよかったと思う。

私の中のボンは、哺乳瓶を抱えて、尻尾をフリフリしながらミルクを一生懸命飲む姿。

ボン、大きくなってくれて、ありがとう。

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