夫のペットロス症候群。

2018年10月2日(火)

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ペットロス症候群とは、ペットと死別したり、ペットが行方不明になったり、
盗難に遭ったりしたことなどを契機に発生する、疾患ないし心身の症状のこと。（Wikipediaより）

◇

ぷぅが亡くなる数日前、「老衰」を口にした日、死の後に必要なことを調べ始めた。
まだ「涼しい」と感じる気候ではなかったので、ドライアイス販売店の検索、場所・営業時間の確認。
これは大して時間を要さなかった。

ペット火葬業者の検索、内容やレビューの確認。　これは本当に悩み、決めるまでに4日を要した。
大切な家族の最後を、自分たちが納得いくものにしたい。
所詮自己満足にすぎないが、それでもおざなりにはしたくなかった。

早々に準備を始めたのは、死後のあれこれに関して、夫はあてにならないだろうと踏んでいたから。

そして、予想どおり夫は役に立たなかった。　と言っても、責めるつもりはない。
初めてならこんなもんだと思う。　まして、唯一無二の相棒だったのだから。
私はただやるべきことをこなし、夫はただ指示通りに動くだけで精いっぱいだっただろう。

その夜は、ぷぅを寝かせたケースを夫の枕元に置き、添い寝させた。

翌日は月曜で、夫は仕事に行かないわけにいかなかった。
それでも、かなり早く引き上げ、帰りに追加のドライアイスを買ってきた。

夕飯中に涙ぐんだり、堪えきれず涙をこぼしたり…感情が悲しみに振り切っている今は仕方のないこと。

火曜日に、ぷぅの今の肉体とお別れした。
早いと思う人もいるかもしれないが、綺麗な体で送りたかったし、早く生まれ変わってほしかったから。

まだまだ感情の針はひたすら悲しみを指しており、二人とも頻繁に涙ぐむ。

まだぷぅが元気だった頃、ぷぅがいなくなった後の事を話し合ったことがあった。
「ペットは二度と飼わない・ぷぅが最初で最後」と言っていた夫に、保護猫の話をしたりもした。
ペット可の住居に住み、養える経済力があるなら、命を救うお手伝いができるんだよ…と。

「猫は臭い」「猫は面倒」と、謎の洗脳をされていた夫の誤解を解き、
猫だったら考えてもいいと言わせるまでに、何度保護猫の話をしただろうか。
いつしか「ペットはぷぅが最初で最後」から「犬はぷぅが最初で最後」に変わっていった。

ぷぅがいなくなって4日、木曜の夕食時に夫が淡々と語り始める。
― 帰ってもぷぅがいないと思うと、電車で触れる肩にさえ腹が立つ、溢れる人の多さに腹が立つ
何もかも嫌になって、その辺の人間を殴りたくなる、叫びたくなる ―
淡々と始まった言葉は、やや興奮気味に終わる。　そして無言。
ただ悲しみにだけ振れていたはずの感情の針が、不安定に乱れ始めてしまった。

嗚呼、ペットロス症候群。

このままではまずいと思っても、
精神疾患の身内にさえも「気合が足りない」なんて一笑に付す夫が、心療内科に行くわけがない。

荒療治だけど。　まだ早いと判っているけど。

それでも私は、猫を探すことに決めた。

37 ぺったん