
春休みのある日、帰ってきた息子のポケットから、小さな黒い塊が目の前に現れました。頭のてっぺんに傷を負い、尻尾は大きく直角に曲がっていて、薄汚れた小さな黒猫。ノミだらけの体にシャンプーして傷には薬を塗り、缶詰をあげるとすごい勢いで平らげ、そのうちルフィの隣で眠りました。
今から16年前、その当時は、保護してすぐに病院でメディカルチェックをするという観念が私たちには無く、半年後去勢をするときに、医師から「脱毛が見られるので、寄生虫かアレルギーか、調べた方がいいですよ」と告げられました。それから亡くなるまでの7年間、彼の皮膚炎との闘いは続きました。
服薬しても痒みは止まらず、フードを変えてもダメ...今思うと、グレインフリーにするべきだったかも知れない。ただ、以前の私たちは本当に無知でした。
そんな日々のなか、彼が人間のトイレで用を足したり、集合住宅の駐車場に停める車の音を聞き分けているのを知り、相当感動したのを覚えています。
たった7年で亡くなり、私たち家族は、そのロスから抜け出せず、1番可愛がっていた主人の落胆は大きく、なにかと涙ぐむ日々が続きました。
友人から「子猫が生まれたんだけど、もらってくれない?」と言われたのは、それから3年経った頃。
「靴下履いてるんだけどいいかな?」と言って送られた写真を見て主人は二つ返事でした。

生後1ヶ月で我が家にやってきたこの子に「らんまる」と名付けました。天真爛漫な可愛い寝姿の写真を毎日撮っていてある日気づきました。

「お腹の模様、何かに見えない?」

「...テンちゃんの顔では??」
無知だった私たちを彼は赦してくれて、こうやって生まれ変わり、また私たちのところを選んでやってきてくれたのだと、私たちは確信しました。
...ただ、生まれ変わりと信じるらんまるは、テンちゃんほど賢くないです(笑)そのかわりボス猫気質でおおらかで、これまた個性的なヤツ。

毛の生え変わった今では、この模様は消えてしまって見当たりません。
昨日は、てんちゃんの8回目の命日でした。
...何年経っても、涙は出ますね...
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