そんな夫婦で意見が一致する数少ない事柄に『自宅に他人を入れたくない』というものがあります。
里親応募の時点で、今の住居に住んで2年でしたが、招いたのは夫の両親・私の妹と姪・別居の息子。
(息子は『招く』というより帰省ですが、このマンションは生まれ育った場所ではないので)
赤の他人では、リフォーム業者やエアコン清掃業者、管理会社のフロント担当者くらいです。
(この方たちは『招いた』のとは違いますが)
猫の里親応募に際し『自宅お届け』は一番のネックでした。
だけど、逆の立場ならどうだろう。
捨て置けずに保護した命。できるなら、自分で終生見届けたいに決まっている。
それでも里親を募集するのは、自分よりもその命を幸せにしてくれる人がいると思うから。
これに尽きると思う。
その生涯、そこからほとんど出ることなく生活する住居。
ケガをする/しないも、病気になる/ならないも、長生きする/しないも、行方不明になる/ならないも、
すべてここに係っているといっても過言ではない、生活環境。
そう。逆の立場になると、これを見ずに何を見れば幸せにしてくれると判るの?としか思えない。
保護主さんが救い、育ててきた大切な命を譲り受けることを考えれば、
『自宅に他人を入れたくない』というこだわりは、非常にちっぽけなものに思えたのです。
私たち夫婦は『自宅お届け』を当然のこととして受け止めるようになっていました。
みずきとみさきは、自宅お届けではなく、お見合いの日に自分たちで自宅に連れてきました。
これをよく思わない方もいるでしょ?「なぜ、生活環境を確認しなかったんだ」って。
もちろん、募集要項には『お見合い後にご自宅お届けご了承してくださる方』とありました。
でも、これをよく思わない方もいるでしょ?「なぜ、自宅を見せなきゃいけないんだ」って。
募集者さんは何百匹も譲渡をされ、ネコジルシで認定されている個人ボランティアの方です。
基本的には自宅お届けされてますが、普段から状況や人となりで判断なさるのではないかな。
他にも、私たちのような特例があるのだろうし、あってもいいのかなと思います。
だって、募集者さんの判断どおり、私たちはみずきとみさきをこよなく愛し、大切にしています。

ほらね、親の欲目を差し引いても、けっして不幸には見えないと自負してる。
後日、募集者さん・保護主さん共に我が家にお越しいただき、生活環境を見ていただきました。
ちょっとだけ成長したみずきとみさきもね。
それから約1年、いまだに募集者さんと保護主さんお二人のみが、我が家にお招きした他人です。
いつでもお越しくださいとお伝えしています。みずきとみさきの恩人ですから、特別です。
『自宅お届け』が必要という方に対しても不要という方に対しても、必ず賛否両論挙がります。
ただ。
応募者は『自分の家を見られる』と言い、募集者は『猫の生活環境を見る』と言う。
この『自分の家』と『猫の生活環境』という、双方の捉え方の違いでも溝が生じるのかなーなんて。
応募者が『猫の生活環境をお見せする』、募集者が『他人のお宅に訪問する』と、互いに一歩引き
相手側の気持ちにほんのちょっと寄り添ったら、その溝を少しは埋められる?
だったら。
応募者は、よんどころない事情がない限りは、訪問を拒否しないことが重要なのかな…と。
嫌がれば何かしら理由があると疑いたくなるのは、このご時世では仕方のないことだから。
募集者は、値踏みなどせず、純粋に猫の生活環境として見られることが重要なのかな…と。
好奇心丸出しの邪な気持ちでは、猫の幸せを考えるべき頭が煩悩で満杯になってしまうから。
うーん。人の感情が絡む問題で、万人が納得するベストな答えを見つけるのは難しいね。
ただ、ネコジルシさんはこう言っています。
厳しい里親条件を提示された場合
【可能性】 ネコの飼い方に対して、掲載者と応募者とで考え方が異なる
【回避方法】納得できない条件は拒否し、縁が無かったと諦める勇気を持つ。
実際に虐待や里親詐欺は存在します。
条件が厳しい事を責めるのではなく、考え方の相違として別の縁を探す事をお勧めします。
結局、これがベターってことだよね。
万人が『納得できる答え』が見つからないのだから、方向転換して『納得できる相手』を見つける。
そう、価値観の違う者同士が、互いの価値観を押し付けあっても解決しないと思うのです。
今回、『自宅お届け』でなかったことを、価値観の違う方にとやかく言われるのは違う。
私は、最良にして最高で、同じ価値観を持つ募集者さんと出逢ったんだと思ってる。
その大切な縁に、価値観の違う方から水を差されたくなくて、このブログを書きました。
私も『自宅お届けを謳うことは必要だけど臨機応変に』派という自分の価値観を公表しただけ。
この自分の価値観を、万人に押し付ける気はありません。
なかなか里親になれず心が折れそうな方にも、同じ価値観の募集主との縁が必ずどこかにある。
平行線の議論でなく、素敵な縁を探すことに時間を費やして、幸せになってほしいと願います。
価値観と相性は重要だからね!と、価値観の違う人間と夫婦やってる私が言ってみる。ふふふ。
最近のコメント