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今年は例年より1週間位早く咲いた。
母は卵巣がんで。
発見された時は、時すでに遅しの状況だった。…見つかりづらい癌なんだそうで。
健診も 毎月の検査もしていたのに。
手術の前に母は自分で自分の遺影写真を選んだ。
「手術中にもしもってことがあると困るからね。変な写真選んだり、顔だけすげ替えるような遺影は私嫌だから」
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どこの公園だろう。…たぶん日付けからすると善福寺公園だろうか。
コブシ(ハクモクレン?)の咲く枝を持ちながら微笑むふくよかな母。
…その写真に残る日付けのちょうど3年後。
写真は『遺影写真』となった。
まるでさっき撮ってきたかのように、外ではコブシの花が咲いていた。
でもその日の母はもう痩せ衰えて写真の中の笑顔ではなかった。
毎年毎年、ミモザの鮮やかな黄色や沈丁花の花の香りがしてくると。
あの頃のホスピスの母の側で寝起きしていたことを思い出して、疲れていても眠れなくなったりしてしまうのだ。
…あれから15年。
今日
学童へお迎えに行った帰り道。
ちぃ兄「ママ、またこの白い花見てため息ついてる」
母ちゃん「うーん。ばぁばに会いたいな、お話したいなって思うんだよねぇ。この花見ると」
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おぉ兄「ママ、なんかフワフワしたのが落ちてるよ。何?」
母ちゃん「…ハトの羽じゃない?」
おぉ兄「違う、色が緑っぽいの」
母ちゃん「どこどこ。どれ?」
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母ちゃん「あ、これね!」
いつも落ちているもの(木の実や葉っぱ、鳥の糞でも)を見つけた時には、落とし主さんは上にいるよと教えているので、黙って上を指差す。
兄ちゃんず「わかった!この白いお花のつぼみの皮だ‼️」
触ってみると細かい毛羽がはえていて。
「なんだか てんてんの鼻の上のところみたいな肌ざわりだね!」なんて言いながら帰ってきました。
…会えないけど、母がそばにいるようなあたたかい気持ちになれました。
犬や猫が大好きだった母。
そのかわいさを教えてくれた母。
…母の家の庭で、白い不思議な柄の子猫と出会ったのは本当に偶然だったのだろうか?
白い花を見上げながら改めて首をかしげてしまいました。
ちなみに私の天然ボケは、その母から遺伝子レベルで譲り受けたものです(笑)
さてと。
明日の洗濯は、兄ちゃんずのポケットの中身をしっかり確認してからしないとな。
…集めたあの皮、ポケットに入れたまま洗濯かごに入れてるんだろうから(笑)
「もう、いいから早く寝るにゃ!」
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すみません、てんさま。
あなたがくつろいでるところ…ワタクシの枕の上なんですが。
「だから。早く寝るにゃ。ボクはママの頭に乗っかって寝るのにゃよ」
…どうりで最近朝から首が凝ると思った!
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