でも待ってたらきっと迎えに来てくれると思ってこの場所から動けなかったんだよ
前に住んでいたお家の前にも何度も行ってみるけど違う人がいるんだ。
でもね、僕はね置いていかれたんだて分からなかったよ。
それからの僕にはね、色んな人がご飯をくれるんだよ。
もらえない日はね、近所のパン屋さんに行ってオネダリしたりしてんだ。

寒い日はね、パン屋さんのストーブの横でお昼寝してたんだよ。


そしたら僕を病院へ連れて行ってくれるおばちゃんがいつもの所に居ないとここまでお迎えにくるんだよ。
看板の所からあんちゃーんて呼ぶんだよ。
僕はね、おばちゃんと一緒にいつもの所に行ってたくさんのご飯とお話をしてもらっていたよ。
駐車場のお店の人はね、僕の事女の子って思っていたんだよ。
だからね僕はあんこって「こ」がつく名前になったんだよ。
僕の名前はお店の人がつけたんだ。
おばちゃんがお店の人に僕の鈴カステラがフカフカだから男の子ですよって教えてあげてたよ。
そうやって暮らしてきたけど、おばちゃんが気づかない間に僕の尻尾は短くなってたんだよ。
僕はどんどん歳をとって動くのもゆっくりになってたんだよ。
そしたらまた僕を呼ぶ声がしたんだ。
僕はね、怖い人って気づかなかったんだ。
寄っていたらね、何かを背中にかけられたんだよ。
僕、びっくりして逃げたよ。
おばちゃんが僕の背中を初めて見つけた時はこんなんだったんだよ。

おばちゃんはすぐにお家へ帰って僕をキャリーバッグに入れて病院へ連れて行ったんだ。
通院の度に病院へ着くまでおばちゃんずーっと大丈夫よー、怖くないよーて話しかけてくれてたよね。
お薬と塗り薬をもらったよね。
そしておばちゃんはお仕事があるから駐車場のあるお店の人に僕にお薬を飲ませてほしいと、背中に軟膏を塗ってほしいと僕の大好きなちゅーるとパウチを渡してお願いしていたよ。
そしておばちゃんは僕の新しいお家を探すのに色んな所に電話していたんだ。
おばちゃんがペット不可のマンションに住んでいたからお仕事帰りに僕の様子を毎日見に来て何にも出来なくてごめんねっておばちゃんいつも僕を撫でながら泣いていたんだ。
でもね、僕はやっと安心出来るとこが見つかったんだよ。
おばちゃんとの最後の日も新しいお母ちゃんがお迎えに来るまでキャリーバッグに入っている僕にずっとお話しながら待ってたよね。
僕は忘れないよ。

もうね、寒い思いも、ひもじい思いも、カラスにやられそうな事も、僕よりうんと下の子から威嚇もされないし、痛い思いも、怖い思いもしなくていいんだよ。
僕ね、1回お家の子になってて、鈴カステラも取られたから野良猫として上手く生きていけなかったんだ。
でも5年も頑張ったよね。
おばちゃんいつも言ってたよね。
あんちゃんの未来は希望しかないよって。
キャリアって病院で言われた時におばちゃん病院でまた泣いていたよね。
帰りも泣きながらまた僕を抱えて、希望しかないけんね、大丈夫て。
おばちゃん座り込んで泣いていた時に今のお母ちゃんがメッセージをくれたんだよ。
それでも僕を迎えてくれたお母ちゃん本当にありがとう。
おばちゃん、僕は幸せになるよ。
今、とても幸せだよ。
皆さん、新しいお母ちゃんの所からの僕を見守っていてね。
そして僕のような棄てられる子がいなくなりますように。
僕の今までの猫生を読んでくれてありがとうございます。
おばちゃんからあんちゃんへ
おばちゃんは遠くからあんちゃんを見守っているからね。
あんちゃんの未来は希望しかないよ。
あんちゃんの背中の傷を見て泣いてくれた新しいお母ちゃんに心から感謝します。
無責任な餌やりさんがいなくなりますように。
虐待、遺棄がなくなりますように。
小さくても命。
人と重みは変わりません。
今回、この子と深くかかわり多くの事を学びました。
性別の判断も出来ない、猫という動物の習性についての無知という怖さ。
なのにご飯だけあげて名前までつけて何かあった時はこちらがお願いするまで知らん顔の身勝手。
私が行き詰まって保護先が見つかるまで費用は負担するので保護してくれないかと病院に相談したら入院という形でならお値段はお安くでいいから大丈夫だと言って下さった先生の温かさ、そしてどうしようかと座り込んでしまった時にメッセージをくれた新しいお母ちゃんの温かさ。
かかわって下さった皆さん本当にありがとうございました。
最近のコメント