野良猫問題はそもそも地域全体で取り組まなければならない地域の環境問題ではあるが、大邸宅が立ち並ぶ裕福な地主さんの街でありながら、猫問題には無関心なようで、全くTNRが進んでいない。
Kさんはこの町の住人でもないし、その場の餌やりでもなく、通りかかって見てしまっただけ。 私と一緒だ。 その苦労がわかるだけに、私も手伝うことを快諾した。
うようよいるので、最初は簡単に捕まって行った。最終的に大人猫11匹捕獲して手術した。

そのうち1匹エイズ猫のハチ割れを手伝ってくれたもう一人のボラさんが保護してくれた。

そのうち、子猫4匹生まれているらしいと聞く。

聞いたからには何とか保護して里親募集してやりたいと思い、しかし保護場所がないので、子猫を見つけたら預かってほしいと、いつもお世話になっている動物病院に預かり予約を入れ、離乳期を待って子猫の行方を探す。
生まれたのは地元の大地主さんの庭にある物置きの下であることをつきとめ、住人に許可をもらって庭に出入りさせてもらい、捕獲しに行くも、怯えて全く出て来ず。
しばらく餌付けして捕獲させてほしいとお願いし、監視カメラを設置し、しばらく通ったが、数日以内に「親子は引っ越していった」と住人が言う。
餌も置いているし、隠れ場所もあるのに、引っ越しなんかするだろうか、と私たちは疑問視。
捕獲に来た私たちを恐れて、親子が一時的に移動したとしても、また戻ってくるはずだと私は踏んだが、そもそも猫は好きではないらしいその家の住人からは、「猫はもう自宅内にはいない、見かけたら連絡する、だから捕獲はやめて引きあげてくれ」と言われてしまった。
猫がいなくなる直前に、住人のご主人が、花壇の中で遊んでいた子猫をちょっと怒ったと後で聞いたが、
ちょっと怒ったくらいで引っ越しするだろうか、と私はとても懐疑的になった。
結局、自分の目の前からいなくなればよいという自己中なのだろう。
そうやって追い払うことで、猫は散らばり捕まらなくなり、また数か月後には成長して子供を産む。
被害者ぶって猫を追い出して終わりだと思ったら大間違い、結局は町中に猫問題を拡散してしまう加害行為である。
どうやらその家では毎年生まれているらしいが、いつも棒でつついて追い出したり、空き地に捨てにいったりしたらしいというのが近所の噂。 本人には確かめてはいないが、それが事実だとすると、自宅にいた猫を、野良猫でも他の場所に移動させるのは遺棄にあたり、犯罪となる。自己中だけでは済まない、犯罪だ。
子猫を探すことの方が急務であった私たちは、その住人とは言い争わなかったが、その後どんなに探しても子猫4匹には遭遇できなかった。
生まれた猫を認識しながら、保護してやれなかったという経験は初めてだ。
Kさんもその後頻繁に現場に行き、子猫を探したが、なかなか巡り合えない。
ご飯を食べているのか心配だったが、子猫は一向に出てこない。
あの大豪邸の住人に無性に腹が立った。
時間が経過する。
そのうち、子猫が大きくなってしまう。 そうすると人馴れしないリスクが高まる。保護するかどうか、迷わなくてはならなくなる。
現場に入って3か月近く経過したころ、私は別のKI町の現場の子猫保護にかかわることになる。
そこは他のボランティアのVさんがTNRをしている現場。 そこで生後2か月の3匹を発見、親はいない。

とりあえずNM町の4匹の子猫の為に預りを予約させてもらっていた枠を、その3匹の為に使わせてもらい、病院に預かってもらうことに。
3匹は何という幸運なんだろう。
保護場所もなかったのに、私が関わることになり、たまたまNM町の4匹が見つからなかったので、その穴にすっぽっと入れてもらえたのだ。
そしてその3匹はしばらく体調が悪く、しばらく入院が必要となった。
NM町の4匹が見つかってきたら、保護場所ないという状態だった。
しばらくして、NM町の4匹を餌場で見かけたとの報告があったが相当警戒している様子。
すでに生後4か月近い。 これでは保護しても人馴れできないかもしれない。
今すぐの保護は諦めて、もうしばらく待ち、避妊去勢手術ができる月齢になって捕獲し、捕まえてみて人馴れしそうな子だけトリアージし保護する、あとは手術後外にリリースするしかないだろう、とKさんに提案した。
幸運にも救われたKI町の3匹、どうやっても私に遭遇できなかった不運のNM町の4匹。
同じ子猫なのに、運命の明暗が分かれてしまいとても辛かったが、それ以上、私にはどうしようもなかった。
あの子たちは外で生きる運命だったと思うしかない。
救われる運命だった3匹を保護した話は、次回に。
最近のコメント